2019 Fiscal Year Annual Research Report
連続的なマルテンサイト変態にともなう弾性熱量効果―冷凍材料としての材料設計
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19H02460
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福田 隆 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (50228912)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 弾性熱量効果 / マルテンサイト変態 / 冷間強化工 / 冷凍材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球温暖化の進行を少しでも遅らせるために,温室効果ガスの排出が無く,かつエネルギー効率の高い冷凍方式の開発に世界中から関心が寄せられている.これらの新しい冷凍方式の中でも,弾性熱量効果を利用した冷凍方式は,実現可能性が高い技術として期待されている. 令和元年度はTi-44Ni-5Cu-1Al形状記憶合金の弾性熱量効果に関する研究を中心として,研究を推進した.この合金は冷却にともない,B2型構造の母相からB19構造さらにB19'構造へと2段階のマルテンサイト変態を示す.この2段階変態のため,B2-B19'へと1段階で変態する通常のTi-Ni系形状記憶合金よりも,応力誘起変態に伴うヒステリシスが小さくなり,その結果として,疲労特性にすぐれた機械的性質を示すようになると期待した.本研究では,このTi-44Ni-5Cu-1Al合金に,さらに冷間強化工とそれにつづく適切なアニーリング処理を施すことで,疲労特性に優れ且つ,大きな断熱温度変化が可能となる冷凍材料の開発を試みた.さらに,Ti-44Ni-5Cu-1Alのマイクロワイヤを作製し,その機械的性質ならびに断熱温度変化を系統的に調査した.得られた研究成果は,投稿論文として掲載済みである. これらの弾性熱量効果の実現に向けた研究に加えて,形状記憶合金のマイクロピラーの機械的性質や,マルテンサイト変態のカイネティクスに関する研究などの,基礎的な研究を同時に平行して進め,これらについても投稿論文として発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに,Ti-Ni合金の弾性熱量効果に関して3本の投稿論文を発表しており,研究成果としては,十分にあがっていると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,さらに特性にすぐれた弾性熱量材料の開発を続けるとともに,格子定数の温度変化が弾性熱量効果に及ぼす影響を基礎的な観点から明確にしてゆく予定である.
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Research Products
(6 results)