2019 Fiscal Year Annual Research Report
照射環境下におけるアモルファス物質の構造変化と安定性
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19H02463
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
石丸 学 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (00264086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲村 龍介 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70396513)
佐藤 和久 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 准教授 (70314424)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 照射効果 / 透過電子顕微鏡 / アモルファス / 構造解析 / 動径分布関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
原子力発電所に使用される構造材料は高温環境に加えて、中性子線や荷電粒子等のエネルギー粒子線場という特殊な環境下に曝されるため、熱的安定性とともに優れた耐照射性が求められている。照射下において結晶では空孔や格子間原子が蓄積されるのに対し、アモルファスでは構造的隙間(自由体積)や原子の再配列により欠陥が消滅するため、新規耐照射性材料としての応用が期待される。本研究では、高い熱的安定性を有するアモルファス材料の照射環境下における構造変化および安定性を、量子ビーム技術、先端的電子顕微鏡技術、計算機シミュレーションを駆使して明らかにし、本物質を用いた耐照射性材料の開発指針を構築する。 本年度は、以下の研究を行なった。 (1)アモルファスシリコンオキシカーバイド(SiOC)の耐照射性に及ぼす照射温度の影響:研究代表者はネブラスカ大学リンカーン校のグループと国際共同研究を推進し、1200度以上の結晶化温度を有するアモルファスSiOCは優れた耐照射性を有することを報告している。本年度は実操業を想定して高温照射環境下における照射挙動を調べた。その結果、500℃にてイオン照射を施した試料においてもアモルファス構造が保たれ、顕著な構造変化が生じていないことが確認された。 (2)アモルファス炭化ホウ素(BC)の作製と構造解析:シリコン基板上に成膜したアモルファスBCの断面試料を作製し、透過電子顕微鏡により構造解析を行った。電子回折図形はハローパターンを呈しており、アモルファス構造を有することが明らかとなった。しかしながら、得られた試料は膜厚が薄いため、詳細な構造解析に至っていない。今後はスパッタリング法によりNaCl基板に成膜し、平面観察の作製を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SiOCに関しては既に論文を投稿している。加えて、アモルファスBCの大まかな構造解析も行なっている。
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Strategy for Future Research Activity |
アモルファスSiOCに関しては、耐照射性に及ぼす照射温度の影響を調査する。 アモルファスBCに関しては、スパッタリング条件を最適化することにより良好な試料を作製するとともに、B濃度を変化させた時のアモルファス構造の変化を調査する。
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