2021 Fiscal Year Annual Research Report
難燃性マグネシウム合金板を素材とした超軽量中空金属球発泡体の創成
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19H02465
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
北薗 幸一 東京都立大学, システムデザイン研究科, 教授 (20321573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筧 幸次 東京都立大学, システムデザイン研究科, 教授 (70185726)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 難燃性マグネシウム合金 / 中空金属球 / 発泡剤 / 高周波誘導加熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、様々な作製プロセスにより、内部に多数の気孔を有するポーラス金属が作製されている。中でも中空金属球は、クローズドセル型ポーラス金属の一種であり、パチンコ玉サイズの中空構造を有する。多数の中空金属球を接着した積層体や中空金属球を充填した筒構造は、優れた衝撃吸収部材として工業的に利用されている。一方、ほとんどの中空金属球は粉末を原料とした鉄製であり、その他の金属での作製例はほとんどなかった。研究代表者は、過去にマグネシウム合金製中空金属球の作製を試みたが、不活性ガス雰囲気中で加熱・発泡しなければならなかったため、著しく生産性が低かった。本研究は、中空鉄球よりも劇的に軽量なマグネシウム合金製中空金属球を比較的低コストで生産することを目的とする。出発材として市販の難燃性マグネシウム合金板材を用い、その繰り返し拡散接合により作製したプリカーサを加熱・発泡するプロセスを用いマグネシウム合金製中空金属球を作製する。数サイクルの繰り返し拡散接合により、発泡剤が均一に分散したプリカーサの作製に成功した。CHINO製の放射温度計により、発泡中の温度変化を測定することができた。今年度は、加熱冷却効率に優れた高周波誘導加熱装置を導入し、発泡試験を行うと共に発泡中の形状変化、温度変化を測定した。電気炉に比べて、高周波誘導加熱装置は加熱速度が大きいため、真球上の中空マグネシウム球の作成に成功した。また、比重は1以下であり、水に浮くことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究分担者1名、研究協力者の大学院生2名の体制で研究を遂行した。不二ライトメタル製の難燃性マグネシウム合金(Mg-6Al-0.4Mn-2Ca)の板材を出発材に用いた。発泡剤として高純度化学研究所製水素化マグネシウム粉末を用いた。島津製作所製圧縮試験機CONCRETO 2000Xを改良し、高温圧縮した。3サイクルの繰り返し拡散接合により、発泡剤粒子が分散したプリカーサを作製した。設備備品費にてSKメディカル電子製高周波誘導加熱装置MU-miniを導入し、中空金属球の作製に成功した。研究成果の一部を、2021年5月の第140回軽金属学会、2021年11月の第141回軽金属学会で発表した。また、研究協力者が東京都立大学大学院システムデザイン研究科の修士論文として、成果をまとめた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの成果を学会誌「軽金属」に投稿する。素材をAZX912合金(Mg-9Al-1Zn-2Ca)として、高周波誘導加熱装置を用いて加熱・発泡試験を継続する。発泡体から直方体試験片を切り出し、圧縮挙動を調べる。また、電子顕微鏡観察により機械的特性と微細組織との関係を明らかにする。2022年5月の第142回軽金属学会、11月の第143回軽金属学会で、成果の一部を発表するとともに研究協力者が修士論文としてまとめる。また、最終年度であるため成果報告書をまとめる。
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