2020 Fiscal Year Annual Research Report
振動エネルギー援用マイクロ塑性加工における素材変形促進機構とモデル化
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19H02481
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
楊 明 東京都立大学, システムデザイン研究科, 教授 (90240142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 徹英 東京都立大学, システムデザイン学部, 准教授 (70614543)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 材料加工・処理 / 精密部品加工 / 超音波振動 / 金属成形加工 / 塑性変形 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、超音波振動が素材変形に及ぼす影響に関するメカニズムおよびそのスケール効果の解明及び素材変形に関する理論モデル(塑性変形構成式)の提案を目的とする。変形抵抗や結晶構造が異なる被加工素材に対して、超音波振動エネルギーと素材の変形促進因子である転位移動エネルギーとの相関に着目し、超音波振動による塑性変形時の素材転位密度の変化を実験的に評価し、素材変形抵抗の変化との関係から素材変形促進効果を定量化する。さらに素材の結晶構造、転位ポテンシャルエネルギー、転位密度などのパラメータ及びスケール効果を考慮した素材変形理論モデルを構築し、プロセスシミュレーションによって、その妥当性を評価する。今年度内に、下記項目を実施し、ある程度の成果が得られた。 1. 各種効果が素材変形に及ぼす影響、およびそのメカニズムの解明 超音波振動の効果が材料変形に及ぼす影響に関して、材料内部よりも材料表面のほうが大きいことに注目し、より素材表面に着目し、振動付与した場合の素材表面の変形形態に関して電子顕微鏡EBSD分析を行い、素材の結晶構造の変化、転位密度の変化などを評価した。ただし、異なる材質、結晶構造の材料に対して、振動エネルギーが変形に及ぼす影響の評価をまだ行なっていない。 2. 各種効果に応じた素材変形モデルを作成し、新しい塑性変形構成モデルの構築とその妥当性評価 1で得られた実験結果に基づき、振動エネルギーと素材変形促進効果をその各種メカニズムに応じて、応力重畳と音響軟化と衝撃効果の3つに分離し、素材の結晶構造、転位ポテンシャルエネルギー、転位密度などのパラメータ及びスケール効果を考慮した素材変形理論モデルに反映していくが、実験実施の遅れにより、モデル構築に至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響により、大学の入構制限などで昨年度当初に実験計画を立てられず、実験が思うように進められなかった。実験補助の学生とのコミュニケーション不足も一因であった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初目標の成果を出せるように、研究計画を見直し、昨年度の遅れを取り戻すべく、下記計画で研究を推進していく予定である。 1. 振動の援用の各種効果が素材変形に及ぼす影響およびそのメカニズムの解明 結晶構造の異なる材料に対しても、表面変形への効果の違いを確認するための追加実験を行い、振動エネルギーが変形に及ぼす影響を評価する。 2. 各種効果に応じた素材変形モデルを作成し、新しい塑性変形構成モデルの構築とその妥当性評価 振動エネルギーと素材変形促進効果をその各種メカニズムに応じて、素材の結晶構造、転位ポテンシャルエネルギー、転位密度などのパラメータ及びスケール効果を考慮した素材変形理論モデルに反映し、これらを統合した理論モデルを構築する。市販の有限要素法解析ソフトに本モデルを組込み、素材変形シミュレーションを行い、その妥当性を評価する。
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