2019 Fiscal Year Annual Research Report
原子・組織アプローチのデータ同化に基づく非平衡固液界面物性の学理開拓
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19H02486
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大野 宗一 北海道大学, 工学研究院, 教授 (30431331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澁田 靖 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (90401124)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 界面エネルギー / フェーズフィールド法 / 分子動力学法 / データ同化 / 凝固組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、双子実験をベースに界面物性値を高精度に算出するデータ同化の手法の高度化・高精度化を実施した。Fe及びAlの過冷凝固を対象にして、固液界面エネルギー、その異方性強度、界面移動度とその異方性強度の四つの因子を、それぞれ単独に推定することから着手し、さらにこれらを同時に推定することを試みた。まず、これらの解析に必要なフェーズフィールド法のGPU並列計算コードを作成した。続いて、データ同化の方法として、アンサンブル・カルマンフィルタと粒子フィルタのそれぞれをコーディングした。 そして、双子実験によって、固液界面物性値を高精度に算出可能な実測値の条件を調査した。まず、1辺が数百マイクロメートルの二次元系(薄板)において、固相が数百ps間等温凝固する現象を対象とした。このとき、二次元上で(100)、(110)及び(111)固液界面が成長するように固相の結晶方位を決定した。この固相の成長によって異なる異方性強度の影響が顕在化するためである。なお、この等温凝固は分子動力学法で直接シミュレート可能な現象であるため、これを対象とした。まずは、フェーズフィールド法を用い、予め定めた固液界面物性値を用いて、上述の固相の成長を計算し、それを観察データとして、データ同化の精度を検証した。フィルタリングの時間間隔、観察ノイズとシステムノイズの大きさ、初期パラメータの範囲など、様々なハイパーパラメータが推定精度に及ぼす影響を調査した。その結果、アンサンブル・カルマンフィルタ及び粒子フィルタのいずれの手法を用いても、最適なハイパーパラメータを用いれば、固液界面物性値をすべて同時に推定可能であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、必要な手法のコーディングを実施し、本研究の実施可能性を双子実験の範囲で確認することが出来た。当初の予定通り順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、分子動力学法の計算結果を実際に用いて、そこからアンサンブル・カルマンフィルタと粒子フィルタのそれぞれによって、固液界面物性値を推定できるかを検証する。Fe及びAlの過冷凝固を対象に、固液界面エネルギー、界面移動度、それぞれの異方性パラメータを同時かつ高精度に推定する方法を構築することを試みる。これによって、非平衡状態における界面物性値の推定方法が構築されることになる。 その推定方法が構築されたのちは、界面物性値の温度依存性の調査にも着手する。複数の過冷度における固相の成長過程をMDシミュレーションで解析した結果を用い、界面物性値の温度依存性の調査を行う。なお、いずれの計算もGPU並列によって高速化して進める。
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Research Products
(4 results)