2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study on Solid-Liquid Phase Change Mechanism in Fine Space
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19H02498
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
鈴木 洋 神戸大学, 工学研究科, 教授 (90206524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日出間 るり 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (20598172)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 相変化 / 蓄熱 / 硬殻マイクロカプセル / 過冷却 / マイクロ流路 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らが独自に開発したシリカ硬殻マイクロカプセルにこれまで過冷却が大きいためほとんど実用化されていなかった無機水和物を内包したところ過冷却がほとんど生じないことが明らかとなった.この特異な現象のメカニズムに関して,本研究では逆Gibbs-Thomson効果仮説,水分子偏在仮説および気泡核生成仮説の3つの仮説をたて,いずれのメカニズムによって生ずるかを,実験および数値計算によって明らかにする. 令和元年度では,まず逆Gibbs-Thomson効果仮説の可能性を示すため,高圧示差走査熱量計を購入し,その精度を検証した.また界面・表面張力の測定法を確立した.カプセル内部構造およびカプセル径の影響を調べるため,自作のマイクロ流路を用いることによるカプセル化蓄熱材の生成法を確立するとともに,カプセル径制御法を確立した.また水分子偏在仮説に関連して,カプセル内部に水分子を含まない蓄熱材であるD-マンニトールを内包して,示差走査熱量計を用いて測定したところ,非カプセル化素材とほぼ同等の過冷却が観察された.このことにより水分子偏在仮説が有力であることが示差された.一方で脱包プロセスの圧力操作条件を様々に変化させて過冷却消失現象を確認したところ,いかなる脱包条件においても過冷却が観察されないことを確認した.したがって気泡核生成仮説については否定できると考えられる.水分子偏在仮説を立証するために,分子動力学法に基づく水分子挙動数値解析法を確立した. 以上の検討結果を踏まえて,令和2年度にはさらに逆Gibbs-Thomson効果仮説に関連する実験データを取得しつつ,水分子偏在仮説に関する数値解析を行い,詳細なメカニズムを明らかにする予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では硬殻マイクロカプセル内での相変化において過冷却が消失するメカニズムについて明らかにするが,逆Gibbs-Thomson効果仮説,水分子偏在仮説および気泡核生成仮説について検討する.そのために,相変化に対する圧力の影響,カプセル内構造の制御,および数値解析による検討を行う.以上のうち,圧力の影響を調べるための示差走査熱量計を購入して,その精度検証を終了した.またマイクロ流路法によるマイクロカプセル生成に成功した.さらに水分子の挙動を調べる数値解析コードを開発した.さらにマイクロカプセル内に水分子を有しない蓄熱材を内包したところ,過冷却が出現することが確認された.これにより水分子のカプセル壁面近傍への偏在が過冷却消失に関連するものと考えられる,以上のように概ね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の検討で水分子の偏在が過冷却消失の原因であることが示差されたが,カプセル内の疎水化を行って,その影響を詳細に検討する.また蓄熱材および親水・疎水壁を含む系において水分子の挙動を予測する数値解析コードを開発し,過冷却現象消失のメカニズムを明らかにする.また圧力を変更して相変化を調べること,マイクロ流路を用いてカプセル内部構造を制御してその影響を調べることを行い,過冷却消失現象に関する詳細を調べる.
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Research Products
(5 results)