2020 Fiscal Year Annual Research Report
Advanced control of pore space of hierarchical macroporous fine particles and evaluation of heat transfer characteristics at interface
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19H02500
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
荻 崇 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (30508809)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ナノ構造化微粒子 / 細孔制御 / 自己組織化 / エアロゾルプロセス / 熱移動特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、ナノ構造化粒子合成の高度化に取り組んだ。特に2019年度に課題として残った粒子の生産性の解決に向けて、(i)二流体ノズルを用いた噴霧乾燥法によるナノ構造化微粒子の合成、(ii)大量合成用新規火炎プロセスの開発を検討した。以下に代表的な研究成果を以下に示す。 (i)二流体ノズルを用いた噴霧乾燥法によるナノ構造化微粒子合成法の開発 原料溶液には、モデル材料として、シリカ、酸化鉄、カーボン、樹脂、有機物系の粒子を選定し、鋳型粒子には、ポリスチレンラテックス、ポリメタクリル酸メチル樹脂、炭酸カルシウムを用いた。この手法により、初年度のナノ構造化粒子(多孔質粒子および中空粒子)の生産性が5倍以上となった。また、高度化という点で、世界で初めてナノファイバーをビルディングブロックとして多孔質粒子を合成する手法にも取り組んだ。乾燥温度、鋳型粒子の濃度、溶媒の種類、二流体ノズルにおけるガス流速が生成される微粒子の形態および内部構造に及ぼす影響を実験と理論の両面から明らかにした。特に、乾燥温度とキャリアガスの組み合わせの最適化により鋳型粒子を用いることなく、球状の中空粒子を合成できることを見出した。また、ペクチン粒子がカチオン性の金属元素と反応することによるエッグボックス効果により、これまでよりも数十倍の比表面積の増加を達成した。 (ii)大量合成に向けた新規火炎プロセスの開発 比較的省エネルギーで粒子を合成できる火炎法の粒子製造時における課題解決に向けて、火炎内に石英管を設置する手法に取り組んだ。火炎内に石英管を導入することにより、火炎場での粒子生成、成長場の温度を低減できることが明らかとなり、これは原料液滴内での粒子や鋳型粒子の自己組織化を促進できる可能性を示した。さらに火炎内を粒子が通過することがないため、火炎で生成されるすすの混入を防止でき材料の高純度化に繋がることを示せた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、革新的な熱移動制御材料の開発に向けた微粒子の高度ナノ構造化に関する研究を実施しており、その研究計画は、(第1ステージ)マクロポーラス微粒子のナノ構造の高度化、(第2ステージ) 構造化、(第3ステージ)熱移動特性をはじめとする特性評価から構成されている。 2020年度は、2019年度に引き続き、(第1ステージ)マクロポーラス微粒子のナノ構造の高度化に取り組み、特に2019年度に課題として残った粒子の生産性の解決に向けて、(i)二流体ノズルを用いた噴霧乾燥法によるナノ構造化微粒子の合成、(ii)大量合成用新規火炎プロセスの開発を目的としていた。上述の「研究実績の概要」に示すように、その目的は概ね達成できたと判断している。特に、本研究で独自開発している微粒子のナノ構造化というコンセプトが、新たな素材(セルロースナノファイバーや多糖類)においても適応可能なことを示せたことは、本技術の応用の範疇を拡大させた。さらに、そこには新たな学理が存在することも明らかとなり、当分野の今度の発展につながる一年となった。以上のことより、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、研究計画の1ステージ「(i) マクロポーラス微粒子のナノ構造の高度化」を実施し、予定通り研究を進めることができた。具体的には、粒子合成プロセスのセットアップ、マクロポーラス微粒子合成法手法の確立、操作条件が粒子構造(粒子径、細孔構造)に及ぼす影響のデータ蓄積を実施した。2021年度は、上記の研究成果に基づき、本研究の第2ステージ「ナノ構造化微粒子の構造化」を実施する。具体的には以下の2つの研究ステップを順に実行する。 1)気相堆積法によるナノ構造化微粒子(多孔質粒子、中空粒子)積層膜の作製と評価 これまで本研究では、気中でナノ構造化粒子(多孔質粒子や中空粒子)の合成を実施してきた。これらの合成プロセスを改良する形で、気相堆積法により、ナノ構造化微粒子の積層膜を作製する。ここでは、基板の種類、粒子輸送ガス流速、積層方向、積層時間、積層時の温度などが積層膜の特性(膜厚、積層密度、膜の均一性、表面積など)に及ぼす影響を系統的に評価する。積層膜の表面、断面、内部構造の観察は、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡などを用いる。また3D-TEMを用いた評価も予定している。さらに表面積はガス吸着法により評価する。 2)バーコーティング法、スピンコーティング法によるナノ構造化微粒子(多孔質粒子、中空粒子)積層膜の作製と評価 こちらは、当研究室が所有している製膜装置(バーコーター、スピンコーター)により、ナノ構造化微粒子複合フィルムの作製を検討する。本実験では、ナノ構造化微粒子の液相での分散安定性、濃度、ならびに製膜条件(ロッドの種類、回転数、基板の種類、前処理有無、乾燥方法)などが得られるフィルム特性(膜の均一性、膜厚、分散度、複合粒子濃度)などで及ぼす影響を系統的に評価する。複合フィルムの物性評価については、1)の場合と同様の評価設備を利用する。
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Research Products
(29 results)