2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of innovative nanocluster catalyst by using amphiphilic nanoporous crystal
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19H02508
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
草壁 克己 崇城大学, 工学部, 教授 (30153274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大河平 紀司 有明工業高等専門学校, 創造工学科, 教授 (60629210)
櫻木 美菜 (水谷美菜) 崇城大学, 工学部, 准教授 (90646829)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 多孔質材料 / 金ナノクラスター / ナノ孔 / 発光挙動 |
Outline of Annual Research Achievements |
CD-MOF結晶内に凝集によって濃度消光を引き起こす色素であるフルオレセインを導入すると、CD-MOF結晶内の親水性ナノ孔に孤立して存在するために、濃度消光の影響を受けず、さらに分子サイズが大きいのでナノ孔内での分子運動が抑制される相乗効果のために強い発光を示す。本年度は希釈溶液中では発光せずに分子凝集状態で発光する色素としてL-システイン/金(I)錯体(L-Cys/Au(I))を共結晶化法でCD-MOF結晶内に導入することに成功した。L-Cys/Au(I)錯体はナノ孔内でCys5Au4からなる線形オリゴマーとして孤立していることがわかった。このL-Cys/Au(I)はCD-MOF結晶内で孤立して凝集発光しない状態にもかかわらず、分子運動の抑制によって強い発光を示すことを明らかにした。このL-Cys/Au(I)@CD-MOF結晶は熱的にも安定であり、ニトロ化合物存在下では発光強度が低下することからセンサーとしての応用が期待できる。また、CD-MOF内に金を導入した場合には親水性ナノ孔のサイズ(1.7nm)より小さな金ナノクラスターが形成していると考えられるが、CD-MOFを溶解させると金ナノ粒子のサイズまで凝集するので、共結晶化法でCD-MOF内にあらかじめ保護剤である4-メルカプト安息香酸(MBA)を導入し、導入したMBA@CD-MOF結晶に対して吸着法で金を導入しナノクラスターとした。このMBA/Au@CD-MOF結晶の可視分光測定を行ったところ数nm以上のサイズの金ナノ粒子で特有のプラズモン共鳴による吸収がみられなかったことから、CD-MOF結晶内でナノクラスターを形成していることを明らかにした。また、これを水に溶解した溶液の可視分光測定でもプラズモン共鳴による吸収はみられず、溶液中でも安定であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であったCD-MOF結晶内への貴金属ナノクラスターあるいは貴金属合金ナノクラスターの導入については導入量が低いなどの問題点があるが、金ナノクラスターの導入およびL-システイン金錯体の導入を行い、これらの研究において大きな進展がみられた。昨年度は触媒への利用に関する研究を進展させたが、今年度は応用領域を広げるために疎水性分子の導入に関する検討を行っており、大いに成果を上げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
保護剤と金ナノクラスターを導入したCD-MOF結晶のキャラクタリゼーションは継続して実験を続行中である。CD-MOFに機能性分子を導入して複合材料として利用するために、吸着法や共結晶法を用いて種々の親水性分子を親水性ナノ孔に導入することに成功した。疎水性分子は吸着法によりCD-MOF結晶に導入することは可能であるが、機能性分子の多くは分子サイズが大きく、CD-MOF結晶の最狭チャネル部を通過できないので吸着法による導入はできない。このように疎水性分子の導入法が十分に確立されていない。 そこで、メタノール蒸気拡散法に用いるγ-CDのKOH水溶液に疎水性分子を溶解させるために、共溶媒を用いる方法を開発している。結晶化のメカニズムとしては、γ-CDがメタノールによって溶度が減少することをトリガーとして錯体形成が開始し、結晶化を引き起こしており、同様の現象は共溶媒が揮発するときに疎水性分子とγ-CDの溶解性が低下するので、共溶媒の揮発だけで結晶化が起こると考えられるので、新規結晶化法として研究を進める予定である。
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