2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Function Integrated Heterogeneous Catalysts for Dehydrogenation-Based New Reactions
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19H02509
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 和也 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (50334313)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 機能集積型固体触媒 / 脱水素 / 新反応開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本提案研究では、脱水素を基盤とした新反応を、いくつかの反応を中間生成物の単離を一切行うことなく機能集積型固体触媒を用いて連続的にワンポットでおこなうことで高効率反応として実現する。2019年度は、パラジウムや金をベースとした触媒を用いて、(1)カルボニル化合物のα,β-不飽和カルボニル化合物への選択的脱水素反応、(2)脱水素芳香環形成反応を利用したアリールアミン合成、(3)アミンのアクセプターレス酸素化によるアミド合成反応の開発に成功した。 (1)について、金をコア、パラジウム(Pd(II)種)をシェル、担体として酸化セリウムを用いた固体触媒を設計することで、ケトン、アルデヒドなど様々なカルボニル化合物のα,β-不飽和カルボニル化合物への選択的脱水素反応は固体触媒で初めて実現した。この成果は既に論文発表済みである。この類の反応に対する固体触媒設計指針を提供する極めて意義の大きい成果である。 (2)について、担持パラジウムナノ粒子と酸を組み合わせた触媒を用いた、アニリンとシクロヘキサノンからの種々の非対称トリアリールアミン合成系を開発できた。本反応は、アクセプターレスで効率よく進行するため、副生成物は水素と縮合の際に生成する水のみであり、グリーン度が極めて高い。また、固体触媒であるため触媒の分離・回収が容易であり、触媒は活性や選択性を維持したまま繰り返し使用可能であった。この成果については論文発表済みである。 (3)について、金-パラジウムコアシェル触媒を用いると、水を酸素源とするアミンのアクセプターレス酸素化によるアミド合成反応が実現できた。金とパラジウムがそれぞれヘミアミナールの脱水素、アミンの脱水素に有効であるため本反応が効率よく進行する。本成果をまとめて論文執筆の予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請の段階で、「機能集積型固体触媒を設計し、(1)アミン、アルコールなどの形式的α-酸素化反応、(2)アルコールの脱水素アミド化反応(アルコールとアンモニアの反応)、(3)脱水素クロスカップリング反応、(4)脱水素芳香環形成反応、の4 つの超高難度反応を開発ターゲットとして設定し、当該研究期間内にこれらを高効率触媒反応として実現する。」と記載した。2019年度には研究実績概要で記述したように、ターゲット(1)と(4)の反応を既に実現しており、今後さらなる高活性触媒の設計や基質適用性の拡張への展開を検討していく。(2)に関しては、(1)で得られた知見をベースにして触媒設計を開始した段階である。(3)に関しては、2019年度には未着手であるが本年度検討を開始する。 (4)の反応のための触媒設計を行う過程で、当初計画にはなかったカルボニル化合物のα,β-不飽和カルボニル化合物への選択的脱水素反応を実現でき、その成果を論文発表した。 以上のように、当初予定していたターゲット反応はいくつか実現できていることに加え、計画になかった反応も固体触媒で初めて実現でいたことを考慮して、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
申請の段階で、「機能集積型固体触媒を設計し、(1)アミン、アルコールなどの形式的α-酸素化反応、(2)アルコールの脱水素アミド化反応(アルコールとアンモニアの反応)、(3)脱水素クロスカップリング反応、(4)脱水素芳香環形成反応、の4 つの超高難度反応を開発ターゲットとして設定し、当該研究期間内にこれらを高効率触媒反応として実現する。」と記載した。今後は特に(2)と(3)を実現するための機能性固体触媒の設計に注力する。触媒設計や反応開発に基本方針は申請書に記載した通りに進める。 (2)については、アルコールの脱水素に高活性を示す金属種、例えば、パラジウム、ルテニウム、金など、を中心に検討する。また、本研究で得られた、「金ナノ粒子触媒がヘミアミナールの選択脱水素反応に対して有効であるという知見も利用して触媒設計を行う。(3)について、脱水素クロスカップリングに関しての最近のトレンドは、錯体光触媒を用いた反応開発であるが、固体触媒を用いた研究例はこれまでにほとんど報告されていない。一方本研究では、2種類の水素原子引き抜き固体触媒(HAT触媒)の組み合わせによるラジカル脱水素カップリング、集積型触媒による付加-脱水素による形式的脱水素カップリングを目指して触媒設計を行う。
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Research Products
(11 results)