2019 Fiscal Year Annual Research Report
ヒドリド化合物を利用した貴金属フリーなアンモニア合成・分解触媒の創出
Project/Area Number |
19H02512
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
北野 政明 東京工業大学, 元素戦略研究センター, 准教授 (50470117)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 貴金属代替 / 酸窒素水素化物 / アンモニア合成 / アンモニア分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では高密度にヒドリドイオンを含有する材料を合成し、ヒドリド化合物が有する様々な物性(電子供与性、高速イオン導電性など)を利用することで、温和な条件下で優れた触媒活性を示す貴金属フリーなアンモニア合成および分解触媒を創出することを目的としている。本年度は、新規酸窒素水素化物であるBaCeO3-xNyHzの合成に成功した。この物質はCeO2とBa(NH2)2との混合物を300-600℃という非常に温和な条件で加熱することにより合成することができ、過去に報告例のない新物質であることも明らかとなった。本材料は、Ruなどの貴金属を担持しなくてもアンモニア合成触媒として安定に機能する。また、FeやCoを担持したBaCeO3はほとんど触媒活性を示さないが、FeやCoを担持したBaCeO3-xNyHzは著しく高い触媒活性を示し、既存のRu触媒を凌駕する触媒性能を実現した。さらにこの触媒の性能は、これまで報告してきたRu/C12A7:e-やRu/Ca2NHのようなエレクトライドやヒドリド系触媒よりも優れた触媒性能であることもわかった。同位体ガスを用いた反応メカニズム解析の結果、BaCeO3-xNyHz触媒は、格子の窒素や水素(H-)種が反応に関与するMars-van Krevelen型機構で窒素および水素を活性化しアンモニア合成反応を進行させていることも明らかにした。 また、アンモニア分解触媒として、CaNH担持Ni触媒が従来のNi触媒よりも100℃程度低温で作動する触媒であることを見いだした。本触媒は、CaNH上にできるNH2-欠陥がアンモニア分子を強く吸着できるため、窒素種との結合力の弱いNiの欠点を克服でき優れた触媒活性を実現している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた酸水素化物材料よりも遙かに優れた新規酸窒素水素化物材料の合成に成功し、Ruのような貴金属を用いずとも優れたアンモニア合成触媒活性を実現しており、研究目標の大部分を実現したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画時は、ヒドリド材料にのみ注目していたが、今年度の成果により酸窒素水素化物を始め窒素含有化合物のアンモニア合成および分解における有用性を見いだしたため、窒化物系材料の探索も視野に入れて研究を進める。また、アンモニア分解では、Ru触媒に匹敵する性能はまだ実現できていないため、その実現を目標とする。
|
Research Products
(18 results)