2020 Fiscal Year Annual Research Report
ヒドリド化合物を利用した貴金属フリーなアンモニア合成・分解触媒の創出
Project/Area Number |
19H02512
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
北野 政明 東京工業大学, 元素戦略研究センター, 准教授 (50470117)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 貴金属代替 / アンモニア合成 / 格子窒素 / ヒドリドイオン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では高密度にヒドリドイオンを含有する材料を合成し、ヒドリド化合物が有する様々な物性(電子供与性、高速イオン導電性など)を利用することで、温和な条件下で優れた触媒活性を示す貴金属フリーなアンモニア合成および分解触媒を創出することを目的としている。 本年度は、前年度見いだしたBaCeO3-xNyHz触媒の作動メカニズムを検討する中で、LaN等の希土類窒化物の格子窒素空孔サイトでN2分子を活性化できることを見いだし、これを活用することで、窒素活性可能を持たないNiを担持しても優れたアンモニア合成活性を実現できることを見いだした。さらに、各種遷移金属窒化物をNi触媒の担体とすると、担体の窒素空孔エネルギーが小さいほどアンモニア合成活性が高くなることを発見した。これらの触媒では、担体上の窒素空孔サイトでN2分子をNi表面で水素分子をそれぞれ別々に活性化でき、窒素分子は直接解離するのではなく、窒素空孔に捕捉され活性化された窒素分子に対してNi表面からスピルオーバーした水素が段階的に付加し、アンモニアを生成する新しいメカニズムで反応が進行することを明らかにした。 さらに、高いヒドリドイオン導電性を示す希土類酸水素化物のLaHOやCeHOにRuを固定化した触媒が、高いアンモニア合成活性を示すことが知られているRu担持La2O3やRu担持CeO2よりも100℃程度低温でアンモニア合成活性を示すことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、格子にH-イオンを有する材料のアンモニア合成触媒活性に対する有用性を示しただけで無く、格子窒素を有効に利用することで、従来不活性だと知られていたNiを用いてもRuに匹敵する優れたアンモニア合成活性を実現できるという従来の常識を覆す結果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
格子水素および窒素を含む新規混合アニオン化合物の探索をさらに進展させる。特にH-イオンを含む固体材料は大気中不安定なものが多いため、大気中および水中でも安定な材料の開発にも注力する。これらの材料を用いて優れたアンモニア合成・分解触媒の開発を進める。
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Research Products
(25 results)