2019 Fiscal Year Annual Research Report
組換え昆虫細胞によるアデノ随伴ウイルスベクター生産のための最適分子設計
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19H02525
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山地 秀樹 神戸大学, 工学研究科, 教授 (40283874)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 生物化学工学 / 昆虫細胞 / 組換えタンパク質生産 |
Outline of Annual Research Achievements |
プラスミドベクターを用いてTrichoplusia ni由来のBTI-TN-5B1-4 (High Five) に血清型が2型のアデノ随伴ウイルス (AAV2) の調節タンパク質Repおよびキャプシドタンパク質Capの遺伝子をトランスフェクションし,Rep78,Rep52およびVP1,VP2,VP3の一過性発現について検討した.ここで,RepおよびCapのDNAには,それぞれ5'末端側に昆虫細胞で機能するプロモーター p#1-1,p#2-1を配置するとともに,プロモーター p#1-2,p#2-2を含む人工イントロンの配列を挿入した.p#1-1,p#2-1として同一のプロモーターを使用し,p#1-2,p#2-2としてp#1-1,p#2-1とは異なる5種類のプロモーターを用いて比較検討をおこなった.また,人工イントロンとして,Autographa californica核多角体病ウイルス (AcNPV) のIE-1遺伝子のイントロンを使用した. 昆虫細胞内で,RepおよびCapの遺伝子に挿入した人工イントロンはスプライシングにより切断・除去され,プロモーター p#1-1,p#2-1によりそれぞれRep78,VP1が発現した.また,人工イントロン内に挿入したプロモーター p#1-2,p#2-2の作用によりイントロンの下流のRep,Cap遺伝子が発現し,それぞれRep52,VP2・VP3が産生した.Rep78,Rep52およびVP1,VP2,VP3の発現レベルは,p#1-2,p#2-2として用いたプロモーターによってそれぞれ変化することがわかった.これらのことから,p#1-1とp#1-2およびp#2-1とp#2-2の組み合わせを最適化することにより,Rep78,Rep52およびVP1,VP2,VP3の発現レベルを昆虫細胞内で適切に制御できる可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
VP1,VP2,VP3の発現レベルはAAVベクターの遺伝子導入効率などの品質に大きく影響し,Rep78,Rep52の発現レベルもAAVベクターの生産性等に影響を及ぼすことが報告されている.本研究において,Rep78,Rep52の発現用プロモーター p#1-1とp#1-2,およびVP1,VP2,VP3の発現用p#2-1とp#2-2の組み合わせを最適化することにより,Rep78,Rep52およびVP1,VP2,VP3の発現レベルを昆虫細胞内で適切に制御できる可能性が示唆された.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,Trichoplusia ni由来のBTI-TN-5B1-4 (High Five) を宿主として,プラスミドベクターを用いてAAV2のRepおよびCapの遺伝子を導入し,Rep78,Rep52およびVP1,VP2,VP3などのタンパク質の昆虫細胞における一過性発現について検討する.Rep・Cap遺伝子発現用プロモーターの比較,新たな人工イントロンやプロモーターの利用,Rep・Cap遺伝子のコドンの最適化や改変などについて検討を進め,Rep78,Rep52およびVP1,VP2,VP3の発現レベルがそれぞれ最適となるプロモーターの組み合わせを決定する. また,緑色蛍光タンパク質の遺伝子をAAVの2つのITR (inverted terminal repeat) の間に挿入したプラスミドベクターとRep・Capタンパク質発現用プラスミドを昆虫細胞High Fiveにコトランスフェクションし,AAVベクターの生産について検討を開始する.
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Research Products
(7 results)