2019 Fiscal Year Annual Research Report
長鎖クモ糸タンパク質遺伝子の利用による高強度シルクの創出
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19H02528
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
小島 桂 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (40370655)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | クモ糸 / cDNAクローニング |
Outline of Annual Research Achievements |
【本年度の目的】 本年度は、オニグモを対象としてその縦糸タンパク質遺伝子をクローニング(目標8kbp以上)し、その配列を決定した上で、遺伝子組換えカイコの導入するクローンを得ること、である。 【本年度の実績】 本年度は、当初計画に従って、まず茨城県つくば市においてオニグモ(Araneus ventricosusu)成体を屋外採取し、使用した。採取個体から、糸腺組織を採取(主要糸腺をすべて採取)しmRNA調整したのち、縦糸タンパク質遺伝子に特異的なプライマーを用いて逆転写した。SMART法にしたがって、テンプレートスイッチから2nd strand cDNA合成したのち、In-Fusion法により発現ベクターへのcDNAのディレクショナルクローニングを行った。得られたcDNAライブラリから縦糸タンパク質遺伝子クローンを濃縮するため、縦糸タンパク質遺伝子の部分配列を用いたコロニーハイブリダイゼーションによって37クローンのcDNAを選抜した。そのうち、目的とする8kbp以上のクローンは15クローンであった。それぞれのクローンについて、5'、3'のシーケンスを確認したところいずれもクモ糸を構成するタンパク質遺伝子と考えられたが、フレームシフト等が無く使用可能なクローンは1クローンのみであった。当該クローンについて全長配列を決定するため、ナノポアシーケンサによるドラフト配列の取得し、さらにデリーションクローン49クローンを作製して配列解析してドラフトシーケンス場にマッピングすることで、全長9335bpのcDNA配列を決定した。 本クローンでは、フレームシフトが認められないことから、遺伝子組換えカイコに導入するクローンとして選定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り研究を遂行し、目的通りの成果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通りに研究を進める。 ただし、当初の想定に反して、総クローンに対するin-flameクローン率(予想33%)に対する実in-flameクローン率(1/37=3%)が極めて低く、テンプレートスイッチオリゴ(TSO)や、逆転写の最適化が必要と考えられた。 次年度は、フレームシフトを考慮したTSOの設計、逆転写反応の最適化をした上で、さらなるクローンの取得を目指す。
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