2020 Fiscal Year Annual Research Report
配位子ネットワーク形成による新奇金属クラスターの創製と機能開拓
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19H02532
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
七分 勇勝 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (10446255)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | クラスタ― / 有機配位子 / ネットワーク化 / 幾何構造 / 電子構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
サブナノメートルサイズの超微細な金属コア(構成核数は10個程度)をもつ有機配位子保護金属クラスターでは、金属コアの構造や核数などのわずかな違いが金属クラスター全体の機能物性に大きな影響を及ぼす可能性がある。有機配位子保護金属クラスターは機能性ナノ材料の素材の候補として近年高い注目を集めており、新たな機能開拓を押し進めていくことは重要である。本研究では、金属コアの周囲を取り囲む有機配位子からなる配位子環境に着目し、官能基修飾された配位子を金属コア上へ導入し、有機配位子間の相互連結により配位子のネットワーク形成を行うことから、新奇な金属クラスターの創製を行う。そして、得られた金属クラスターの基礎的性質の評価を実施し、この系独自の構造・機能を探究する。本年度は、官能基修飾された有機配位子の金属コア上への導入と配位子間での共有結合形成によるネットワーク化を試みた。その結果、適切な有機配位子を用いることで金属コア構造を維持したまま金属クラスターによるネットワーク形成が行えることが分かった。また、金属コア上の配位子環境と金属コア構造の関係を統計的な解析から示し、配位子環境のごく僅かな変化が金属クラスターの光学特性に影響を与え得ることを明らかにした。また、溶媒への溶解性を利用することで金属クラスターによる凝集体を溶液中で形成させ、こうした金属クラスターの集合化が吸収・発光応答につながることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
配位子によるネットワーク形成が行え、さらに、配位子環境に連動した光学特性も見い出していることから、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた知見を活かし、配位子ネットワーク形成に適した官能基を導入した有機配位子の合成を行う。そして、配位子が金属コア上へ導入された有機配位子保護金属クラスターを合成し、配位子同士の相互連結を行うことから配位子のネットワーク化を実現する。そして、得られた金属クラスターの評価を行い、構造と機能の相関を調べる。
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