2019 Fiscal Year Annual Research Report
Terahertz imaging on the basis of one-dimensional plasmonics
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19H02536
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
野々口 斐之 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (50610656)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | プラズモニクス / カーボンナノチューブ / センサー / 電磁波 / ドーピング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は単層カーボンナノチューブを基盤とするテラヘルツ波帯の高感度イメージングデバイスを開発することを目的としている。研究期間の前半では,申請者が有する高信頼性ドーピング手法を用い,テラヘルツ帯のイメージング感度に見られると予測される構造物性相関を明らかにすることを計画した。令和元年度には,半導体性カーボンナノチューブの精製技術と製膜技術を整備するとともに,熱電変換特性と遠赤外プラズモン共鳴を同一試料で計測する方法論を確立した。光熱電変換に基づく検出機構ではこの両者の積で感度が決定するため,一貫した評価システムを構築できたといえる。この結果,幅広いドーピング範囲で比較的優れたドーピング感度が与えられることをはじめて明らかにした。続いて,オンチップのイメージング素子の性能を0.26THzで計測し,300ナノメートル程度の薄膜においても従来の検出デバイスと同程度の雑音等価電力が得られることを明らかにした。現時点では厚いPETフィルムを基板として用いているが,PETの薄膜化や放熱機構の付与など熱設計も加味することでさらなる性能向上も期待できる。また薄膜状態でも十分な感度が得られていることから,軽量・半透明デバイスなどの利用価値が期待できる。平行して今後の課題となるドーピング安定性やドーピング精度の問題を抽出した。安定性については種々のドーピング手法を比較し,化学ドーピング法を最適化するとともに現実的な封止技術についても検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は半導体性カーボンナノチューブ膜における光熱電変換特性の構造物性相関を明らかにしており,提示した課題を全て達成していると言える。また先行してオンチップデバイスでの課題調査も始めており,プロジェクトが極めて順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度では,ドープ半導体性カーボンナノチューブ薄膜を搭載した電磁波センサーを構築し,その応答性を調べる。単極,および両極性のデバイス構造について,定量的なセンサー特性の評価法を検討する。とくにn型素子の安定性が課題となることが予想される。そこでp型のみの特性を強く反映するデバイス構造を考える。これと同時に,n型ドーピングに対して安定な半導体性カーボンナノチューブの構造を調べるとともに,物理的な封止技術も検討する。続けて,電磁波エネルギーごとの依存性を調査する。遠赤外領域のカーボンナノチューブのプラズモン共鳴を利用したブロードバンドセンサーのコンセプトを実証する。雑音等価電力をもとに,種々の既報デバイスと比較検討する。
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Research Products
(7 results)