2019 Fiscal Year Annual Research Report
Luminescence of carbon nanotube-enzyme complex and its application
Project/Area Number |
19H02539
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
田中 丈士 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 上級主任研究員 (30415707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片浦 弘道 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 首席研究員 (30194757)
平塚 淳典 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究グループ長 (70392652)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ / 発光 / 酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
酵素反応を利用した、カーボンナノチューブの近赤外発光に関する研究を推進する。近赤外光は生体組織に対して高い透過性と低い散乱性を有しており、医療応用に非常に適しているが、蛍光を利用する場合には励起光自体の透過性が低いことや生体分子由来の自家発光が問題となっている。本研究の酵素反応によるカーボンナノチューブの発光は励起光が不要なためこれら問題を回避することが可能であり、さらに、酵素の持つ基質特異性を利用することにより選択性の高いセンサ機能も付与することが可能となる。まず、ホタルの発光酵素(ルシフェラーゼ)の発光反応を利用したカーボンナノチューブの近赤外発光を得ることを目的に研究進めた。近赤外カメラと光学フィルターを組み合わせた近赤外光の検出系を用いて、カーボンナノチューブの種類やルシフェラーゼとその基質の濃度などといった反応条件と測定条件の検討を行うことで、酵素反応による近赤外発光を検出することに成功した。次いで、本発光がカーボンナノチューブに由来することを明らかにすることを目的に、近赤外領域に対応する分光器(ポリクロメーター)を新たに導入し、近赤外分光測定装置を組み上げた。本分光装置を用いて近赤外発光スペクトルを測定した結果、当該発光波長がカーボンナノチューブのものと一致し、カーボンナノチューブによる発光であることが強く示唆された。今後は引き続き、当該発光の詳細な解析を行っていく予定にしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最大のハードルは、カーボンナノチューブの近赤外発光が検出できるか否かに掛かっているところ、初年度より酵素反応を利用したカーボンナノチューブの近赤外発光を検出することに成功している。また、新たに導入した近赤外用の分光器が確かに機能し、カーボンナノチューブに対応する波長の発光が分光されており、当初の研究計画の通り、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの所、カーボンナノチューブの発光の検出に成功してはいるが、その効率は決して高くはなく、その発光効率を高めるための工夫が必要になってくる。そのことを念頭におきながら、今後の研究を推進していく予定にしている。
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Research Products
(3 results)