2019 Fiscal Year Annual Research Report
光共振器中の超伝導体ジョセフソン接合におけるテラヘルツ帯レーザー発振の実証
Project/Area Number |
19H02540
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
辻本 学 筑波大学, 数理物質系, 助教 (20725890)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高温超伝導体 / 固有ジョセフソン接合 / 超伝導量子デバイス / テラヘルツ波 / レーザー発振 |
Outline of Annual Research Achievements |
光共振器中の超伝導体ジョセフソン接合におけるテラヘルツ帯レーザー発振の実証に向けて、当該年度は超伝導体単結晶が内包するジョセフソン接合列の位相同期メカニズムに着目し、素子のメサ側壁効果に関する実験研究を行った。具体的には、コヒーレントな連続テラヘルツ波を放射するビスマス系銅酸化物高温超伝導体の単結晶メサ構造の傾斜側壁に由来する特性の不均一性に着目し、テラヘルツ発振が生じる際の自発的な同期現象を発振特性の精密測定によって調査した。傾斜側壁と発振特性の関係を調べるために、素子形状を高精度に制御するマスクレスレーザー微細加工技術を開発した。テラヘルツ帯の発振周波数測定では、自作したスプリットミラー型フーリエ変換テラヘルツ干渉計を使用した。実験の結果、不均一性が小さく一様な特性を示す素子から高強度かつコヒーレントなテラヘルツ波が放射されることを発見し、高性能な固有ジョセフソン接合型テラヘルツ量子光源の設計指針に関する情報を得た。また、テラヘルツ発振が生じる際には素子の電流電圧特性に特徴的なバンプ構造が現れることを見出し、投入電力と発振電力の関係から詳細な物理機構について考究した。本研究はアメリカのアルゴンヌ国立研究所材料科学部局とトルコのサバンチ大学との国際共同研究によって行われた。 当該年度に得られた研究成果は、アメリカ物理学会のPhysical Review Applied誌に原著論文として発表した。また本研究に関連する研究成果を同会Physical Review B誌に国際共著論文として発表した。国際学会では5件の口頭発表と5件のポスター発表、国内学会では15件の口頭発表と9件のポスター発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施期間の初年度である当該年度は、研究目的を達成するための準備段階として、当初の予定通り超伝導体ジョセフソン接合における位相同期メカニズムを解明する手法並びにプラットフォームを構築することができた。特に、素子の特性分布を精密制御できる微細加工手法を開発できたことは重要である。この成果は国際学会等での発表を通じて同分野の研究者と議論し、また原著論文としてアメリカ物理学会の学術専門誌に掲載した。当該年度に行った研究は次年度以降の研究の発展につながるものと確信しており、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り、超伝導レーザー発振実験で用いる光共振器の設計と開発を行う。具体的には、対面ミラーからなるファブリペロー型光共振器を開発する。高いQ値を持つファブリペロー型を採用することで電子対のトンネル確率を共振器の減衰率より高め、超伝導体ジョセフソン接合のレーザー発振を検証する。ミラーの曲率は幾何光学的に最大の帰還応答が得られる共焦点条件で設計する。光学部品の製作に際しては光学素子メーカーからの協力を受ける。 超伝導レーザー発振を実験的に観測するためには、発振器から放出されたフォトンを高感度なテラヘルツ波検出器でモニターし、検出フォトン数を注入した電流量の関数としてプロットしたときに現れる非線形特性を測定する。同時に、研究代表者が開発したスプリットミラー型分光計を使ってフォトンのパワースペクトルを調べる。さらに、共振器と素子の電磁結合の強さは外部磁場で変調できるため、磁場の印加によって自然放出と誘導放出を人工的に切り替えることを試みる。 以上の研究を実施する上で、研究計画の変更や研究遂行上の問題点はない。
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Research Products
(40 results)
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[Journal Article] Mesa-sidewall effect on coherent terahertz radiation via spontaneous synchronization of intrinsic Josephson junctions in Bi2Sr2CaCu2O8+δ2020
Author(s)
G. Kuwano, M. Tsujimoto, Y. Kaneko, T. Imai, Y. Ono, S. Nakagawa, S. Kusunose, H. Minami, T. Kashiwagi, K. Kadowaki, Y. Simsek, U. Welp, and W.-K. Kwok
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Journal Title
Physical Review Applied
Volume: 13
Pages: 014035-(1-7)
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Observation of a two-mode resonant state in a Bi2Sr2CaCu2O8+δ mesa device for terahertz emission2019
Author(s)
T. M. Benseman, A. E. Koshelev, V. Vlasko-Vlasov, Y. Hao, U. Welp, W.-K. Kwok, B. Gross, M. Lange, D. Koelle, R. Kleiner, H. Minami, M. Tsujimoto, and K. Kadowaki
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Journal Title
Physical Review B
Volume: 100
Pages: 144503-(1-14)
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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