2021 Fiscal Year Annual Research Report
Electron heat engineering using graphene
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19H02542
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
守谷 頼 東京大学, 生産技術研究所, 特任准教授 (30548657)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | グラフェン |
Outline of Annual Research Achievements |
グラフェンは六方格子を持った炭素原子一層のシートである。電子の比熱が小さく、さらに電子-格子間相互作用が弱いという特徴を持つ。そのため、グラフェンにおいては、格子の温度とは独立に、電子系の温度だけを上昇させることが可能である。このような、格子系を介さない電子系だけを用いた熱伝達の制御、さらにそこから派生する効率的な熱電変換素子の実現が本研究の目的である。 本年度は、同一基板状に作製した2つのグラフェンデバイスを用い、一方のグラフェンを黒体輻射光源として赤外光を放出し、もう一方のグラフェンを赤外検出器とすることによりグラフェン光源からの光を検出するという実験を試みた。この実験により2つの離れたグラフェン間のエネルギー輸送を定量的に調査することが可能である。ファンデルワールス積層技術を用いてグラフェン/六方晶窒化ホウ素(h-BN)/グラフェン積層構造を作製した。h-BNの厚みを40 nm程度にすることにより2つのグラフェン間は電気的には絶縁されている。一方のグラフェンに電流を印加した際、もう一方のグラフェンには大きな熱起電力が発生した。これはを一方のグラフェンが黒体放射光源として赤外光を放出し、もう一方のグラフェンが熱電効果を用いた赤外光検出器としてエネルギー輸送が起こっていることを示唆している。比較のため間のh-BNを40 nm h-BN/二層グラフェン/40 nm h-BNに変えた素子も測定したがエネルギー輸送はほぼ同程度であった。黒体輻射源の波長は2つのグラフェンの間の距離よりも長いため、近接場の効果によるエネルギー輸送の増大についても検討した。結果として低温から室温の広い温度範囲において、グラフェンからの強い熱輻射の効果を示唆する結果を得た。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(25 results)