2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of single-electron reservoir compuiting
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19H02545
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
大矢 剛嗣 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (30432066)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 単電子回路 / リザーバコンピューティング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は「リザーバコンピューティング(RC)モデルを単電子デバイスに実装するための回路アーキテクチャの開発」をすることである。RCとは、近年注目を浴びているニューラルネットワーク(NN)モデルの一つである。最大の特徴は、リザーバと呼ばれる部分に含まれるニューロン間の接続や結合重みの設定法であり、一般的なNNでは十分に検討の必要があった設定・手法が不要になっている点である。究極的にはリザーバ部内のニューロン間配線はゼロでも構わないというのも回路アーキテクチャを考える際には大変魅力的である。よって 、応募者のこれまでの「単電子回路+NN」研究の知見を活かしつつRCモデルを導入することで、単電子回路研究の課題である配線数の問題と学習(シナプス結合の荷重変更)、およびこれまでの雑音・ノイズ利用を包括した新しい単電子情報処理の仕組みが完成する可能性がある。 本研究課題においては特に(i)リザーバコンピューティングモデルを基にどのように単電子回路化するのか、(ii) (i)の(配線数を抑制した)設計回路が雑音・ゆらぎ環境下で所望の動作をするか、(iii)動作した場合に、なぜ動作出来ているのかを説明できる理論の構築、(iv)学習機能の実装とそれが正常動作をするかの確認の4点について着目し研究を進めている。2020年度(コロナ禍により2022年3月まで期間延長)は初年度に引き続き(i)と(ii)について主に研究を進め、実現可能性の確認を重ねてきた。加えて、研究成果については、新型コロナウイルスの影響を強く受けたものの査読付き英語論文を2020年度中に1報(延長期間中に2報)、査読付き国際会議発表を3件(延長期間中に5件(1件の招待講演含む))、国内学会発表を9件(延長期間中に14件)するに至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で主に設定している4つの課題のうち、初年度までの成果を踏まえ引き続き2つ(iおよびii)について研究を進めた。コロナ禍ではあったもののある程度の研究成果が得られ、2020年度中は査読付き英語論文を1報、査読付き国際会議発表を3件、国内学会発表を9件するに至った。一方で、新型コロナウイルス感染拡大のため、参加・成果発表予定だった学会・国際会議が1年延期になる等、成果発表ができないという影響も受けた。これについては研究期間延長により2021年度に成果発表を実施することができたため、総合的にはおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに本課題で上げている4つの課題の内、2021年度の研究進捗も含め、(i)、(ii)、(iv)について一定程度以上の知見を得ることができた。今後はまだ十分に着手できていない(iii)理論の部分についての検討を進める。また、最終年度に向けて本課題で上げている4つの課題を総合的に解決していく手法を検討し、具体的な応用例についてのデモンストレーションを進める。ある程度の時間を要すると考えられるが、引き続き検討を進める。 研究成果については、引き続き英語論文や各種学会・国際会議での発表を積極的に行う。
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