2020 Fiscal Year Annual Research Report
NV中心を利用したコヒーレントな電子スピン流の生成とスピン情報輸送
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19H02546
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森下 弘樹 京都大学, 化学研究所, 助教 (20701600)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ダイヤモンドNV中心 / 電気的磁気共鳴検出 / スピン流 |
Outline of Annual Research Achievements |
ダイヤモンド窒素―空孔中心は,優れたスピン特性等を有するだけではなく,下記の3つの特性がある:i) ダイヤモンドは絶縁体であるため,光電流以外の電流が殆ど流れない.ii) ダイヤモンドはスピン軌道相互作用が小さいため室温でも数μm以上のスピン拡散長を持つ.iii) 窒素―空孔電子・核スピンコヒーレンスを室温で電気的に検出できる.そのため本申請は,ダイヤモンド窒素―空孔中心を用いた量子デバイスの多量子ビット化に向けて,数10nm~数100nm間隔に配置した窒素―空孔中心間の情報輸送を,コヒーレントな電子スピン流の光励起生成と窒素―空孔中心間の情報輸送を実証することを目的とする.
本年度は、昨年度構築した測定系の高度化を行った。まず、任意波形電子スピン共鳴を行えるように任意波形発生器を用いたEDMR測定系の構築を行った。次に、EDMR信号検出効率を向上させるために、電極ならびにマイクロ波アンテナ構造の最適化を行った。その結果、マイクロ波アンテナから効率的に高周波磁場をNV中心に放射することができるようになった。さらに、スピン流生成の原理実証のために、電荷輸送原理の理解を進めた。そのために、NV中心を利用した量子センサの研究を行い、磁場や電場による磁気感度への影響を調べた。特にバイアス電圧印加による磁気感度低下は、NV中心付近に実際に印加されている電場の影響を議論した。本成果は、応用物理学会、The 3rdInternational Forum on Quantum Metrology and Sensing、そしてthe 14th International Conference on New Diamond and Nano Carbonsにおいて口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、目的の測定系の高度化のための構築並びに、起電力の測定に成功しているため、当初の計画通りに研究を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、目的の測定系の高度化のための構築並びに、起電力の測定に成功しているため、当初の計画通りに研究を進めた。さらに、起電力ならびに電荷輸送原理理解を利用することで、アンサンブルNV量子センサの高度化に本技術を応用する。
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Research Products
(7 results)