2019 Fiscal Year Annual Research Report
大環状芳香族分子のナノ細孔性固体のリチウムイオン電池負極材料への応用
Project/Area Number |
19H02552
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 宗太 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任教授 (40401129)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | リチウムイオン電池 / 負極材料 / 大環状分子 / ナノ細孔 / 炭化水素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、分子性孔あきグラフェンを集積して細孔性材料を構築し、高性能リチウムイオン電池負極材料を開発することを目的としている。研究代表者の所属する研究室が独自に開発した大環状芳香族炭化水素分子の合成法をもとに合目的分子設計を施した分子合成を行い、集積様式の制御によって、分子細孔が整然と並んで構築された1次元ナノチャンネル構造を持つ結晶性固体を得る。X線回折およびガス吸着を併用した細孔構造評価により、分子性材料ならではの精密な構造に関わる知見を得る一方で、負極材料としての電池性能評価を行う。「構造」と「性能」、さらに「電極の作用機序 」に関する相関を明瞭に理解することで、分子設計指針にフィードバックし、高速かつ安定に充放電し、高容量を示す負極材料の開発を達成する。基礎的研究ではあるが、高密度に分子が充填された結晶性材料という特徴から、高エネルギー密度を有する有用な負極材料が得られと期待される。 本年度、高性能な材料であることがわかっている大環状芳香族炭化水素分子に対して、収率や原材料の価格、調製の簡便さを加味して大量合成経路の最適化を確立することができた。また、試料調製法の違いによる集積様式の作り分けを再現性よく実現することに成功した。その集積構造に対しては、実験室に備えられたX線回折計装置、それでも測定が難しい場合には、放射光X線回折装置を用いることで構造確認、さらには、構造決定をめざし、予備的検討を実施し、どのように検討を進めるか、専門家との研究討議を含め、調査を進めることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の年度の目的をおおむね達成することができた。電池性能を評価するための装置の仕様が定まっていないが、共同研究者と円滑に研究を進めることで、研究の遂行には特段の支障がない形で研究を進めることができている。
|
Strategy for Future Research Activity |
大量合成の経路を確立できた大環状芳香族分子の集積状態の解明をめざして研究展開する。得られた大環状芳香族分子は固体状態において結晶性を示すことがわかってきている。今後、学内共用機器のX線回折計の利用、および、SPring-8の粉末X線回折ビー ムラインの利用によって粉末X線回折実験を行う予定である。この検討を通して、1次元ナノ細孔を構築できる固体試料の調製条件を探索する。さらに1次元ナノ細孔が示す物性評価・機能評価にも着手する予定である。
|
Research Products
(11 results)