2019 Fiscal Year Annual Research Report
分子コンテナ法を利用した巨大ナノグラフェンの高機能化集積構造の構築と精密制御
Project/Area Number |
19H02560
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
吉本 惣一郎 熊本大学, 産業ナノマテリアル研究所, 准教授 (30323067)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉沢 道人 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (70372399)
深港 豪 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (80380583)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 分子コンテナ法 / ナノグラフェン / 組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ひとつの分子に多くの機能を付与できるようになってきたが,分子の巨大化は溶解性低下との戦いでもあり,分子機能発現の開拓は限界に直面している。表面科学的な観点からも難溶な分子群の組織化や積層化は,分子物性を理解・発現する上で重要である。 本研究では,水溶性のミセル型分子カプセルを利用した「分子コンテナ」法により種々の疎水性のパイ電子機能を有するナノグラフェンの配向制御とその選択的集積化による新奇な物性の精密な制御に取り組んでいる。 2019年度はサイズや形状の異なるナノグラフェン合成に取り組み,特にC150の合成を達成した。ナノグラフェンで最大のC222(ヘキサゴン型)についても合成できたが,共通機器装置のトラブルもあり分子のキャラクタリゼーションに時間を要した。「分子コンテナ」法により巨大なC150分子も水に可溶化できることが示されたほか,窒素原子を含むナノグラフェンのデザインと合成にも着手した。窒素を含んだナノグラフェンについては分子の合成経路や方法論の修正が必要であることが明らかとなったが,分子の形状を修正することで見通しは立った。また,導入した真空加熱装置のエージングとトライアル実験としてポルフィリンなどの分子内環化反応を行い,金基板上で反応が進行する条件等を見出した。さらに,電気化学界面を利用してAu(111)表面へのトライアングル型のC96の組織化条件を見出し,電気化学走査型トンネル顕微鏡(EC-STM)によりナノスケール可視化に成功した。 2019年度末から新型コロナ感染症の影響により学会が中止やオンライン化となったが,予算の一部を繰り越し,2020年度に国際会議と国内のオンライン学会2件の発表を行った。また,出版社からの依頼で分子コンテナの解説記事1件,ハンドブックの依頼1件,ナノグラフェン単分子膜を利用した白金クラスター形成に関する論文発表を1件行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
共通機器であるマススペクトル装置が動作不良,あるいは装置のメンテナンス時間が長くなることが多く,しばしば分子合成のキャラクタリゼーションが停滞することがあった。また,2020年以降新確コロナ感染症に伴う国,県,大学レベルの対策とその対応によって,研究活動の一部が制限されたことにより,進捗がやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
共通機器であるマススペクトル装置の不具合等の発生に対しては分担者と協力し,学外での測定も積極的に行い,時間の節約に努めたい。また,ナノグラフェンの基板上での直接合成へも積極的に展開することで,ナノグラフェン前駆体の合成に要する手間を少しでも減らしていく予定である。
|