2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of quantum dot-sonosensitizer and its application to treatment of intractable infections
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19H02564
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
川崎 英也 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (50322285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 健 関西大学, システム理工学部, 教授 (10370173)
宮治 裕史 北海道大学, 大学病院, 講師 (50372256)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 金ナノクラスター / 超音波 / 超音波キャビテーション / 音増感作用 / 一重項酸素 / SDT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、超音波照射によって一重項酸素(1O2、強力な酸化力をもつ活性酸素)を高効率に発生する音増感剤(超音波に応答して1O2を生成する物質)として、金量子ドット(2nm以下の金ナノ粒子)を新規に創出する。「超音波照射による金量子ドット(金ナノクラスター)の励起と一重項酸素発生との関係」の観点から、金量子ドットの音増感作用機構を明らかにする。超音波照射で一重項酸素高効率に発生する量子ドットの粒子設計指針を確立することで、「量子ドット音増感剤」という新たな領域を開拓する。そして、金ナノクラスターの音増感作用による感染症細菌の殺菌作用、及び触媒的酸素生成能を利用して、難治療感染症である歯周病の超音波治療法を新たに開発する。 本年度は、金ナノクラスターの音増感作用(金ナノクラスターの超音波励起による一重項酸素発生)を創出とその音増感機構の解明を目的とした。超音波照射(1MHz)によって励起された金25量体の音増感作用により、一重項酸素が発生することを初めて見出した。この一重項酸素の発生は、一重項酸素検出プロープを用いたESR法により確認した。また、超音波照射による金ナノクラスターの発光を観測したことから、超音波照射によって金ナノクラスターが励起されることを初めて実証した。水に超音波を加えると水中の圧力が周期的に変化し、水中の気泡は膨張・収縮をくり返すが、気泡径が最も小さくなったときに気泡内部は数千度・数百気圧という高温高圧状態になる(超音波キャビテーション)。この超音波キャビテーションが金25量体を励起し、一重項酸素を生成したと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、金ナノクラスターの音増感作用(金ナノクラスターの超音波励起による一重項酸素発生)を創出とその音増感機構の解明を目的とした。その中で、金ナノクラスターの音増感作用を金25量体で初めて見出すことができた。また,超音波照射下での金ナノクラスターの発光現象を初めて観測することができた。この超音波励起による金ナノクラスターの発光と超音波キャビテーション(超音波発光)の強度との強い相関から,超音波キャビテーションによる金ナノクラスター励起が音増感作用の主要因であることを見出すことができた。以上の成果から,金ナノクラスターの音増感作用を創出とその音増感機構の解明について,当初の計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
高効率音増感作用を有する金量子ドット(金ナノクラスター)の粒子設計指針の確立 金ナノクラスターのサイズ(構成金原子数)が超音波照射で発生する一重項酸素の発生量に与える影響を調べる。ここでは、Au4~20、Au20~40、Au40~80、Au100以上と構成金原子数の異なる金ナノクラスターを合成し、これらの中で超音波照射により最も一重項酸素を多く発生する金ナノクラスターを決定する。SDTへの医療応用から、金ナノクラスターは、水溶性の有機配位子を使用する。金ナノクラスターの音増感作用は、ソノルミネッセンスによる金ナノクラスター励起が重要であると考えている。そこで、種々の金ナノクラスターによる一重項酸素発生量について、超音波照射と直接光励起(400-700nmの可視光励起)の場合を比較することで、超音波励起―光励起の相関性(直接光励起で一重項酸素を多く発生する金ナノクラスターは、超音波照射励起でも一重項酸素を多く発生するという関係)を調べる。最終的に金ナノクラスターを発生する「量子ドット音増感剤」の粒子設計指針を確立する。
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Research Products
(11 results)