2020 Fiscal Year Annual Research Report
リズミカルな鞭毛運動を誘起する分子マシナリの力学制御
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19H02566
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
西山 雅祥 近畿大学, 理工学部, 准教授 (10346075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 俊樹 県立広島大学, 生命環境学部, 教授 (40292833)
今井 洋 大阪大学, 理学研究科, 助教 (60391869)
松浦 宏治 岡山理科大学, 工学部, 准教授 (70443223)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 鞭毛 / 高圧力顕微鏡 / 運動マシナリ / ナノバイオ / 分子操作 |
Outline of Annual Research Achievements |
精子は頭部から伸張させた長い鞭毛繊維を滑らかに振動させて卵子へと遊泳する。この精子鞭毛の振動現象は、ダイニンと微小管の滑り運動を起動力とし、それ以外の構造体は鞭毛全体が滑らかに動くようにサポートするはたらきがある。本研究課題では、高圧力下で見いだされた非運動性の鞭毛振動の動作機構を調べることで、精子鞭毛がどのようなメカニズムで駆動しているのか、また、どのようにすれば鞭毛運動を活性化できるのかを明らかにすることを目的とする。 令和2年度は、クラミドモナス鞭毛の振動機構を調べる研究を実施しながら、高圧力下でみられた鞭毛運動の活性化について(Yagi & Nishiyama. Sci Rep. 2020)、研究分担者と共に和文の解説記事2報にまとめた。次に、高圧力技術を用いたヒト精子の活性化を念頭におき、哺乳類細胞を対象とした研究を行った。マウス胎児線維芽細胞を高圧力顕微鏡で観察したところ、高圧力下でダイナミックに細胞形態が変化する様子が観察された。また、加圧処理を行った細胞の遺伝子の発現量を確認したところ、Oct2やSox2は約2倍に増加したものの、概ね発現量に大きな変化はみられなかった。最後に、周囲の環境に応じて発光特性を変化させる蛍光タンパク質を用いて、発光スペクトルのピーク波長や強度をまとめた。将来的にはトランスジェニックマウスへと応用することで、高圧力下での細胞内環境の実測などに応用できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウィルス感染症が続く中、研究室内への立ち入り制限を考慮しながら、研究を実施する必要が生じた。在宅であっても実施できる画像解析を中心に研究を進めたところ、高圧力下にある細胞内の環境に関する知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
繊毛・鞭毛は、真核生物に幅広くみられる細胞小器官であり、種を超えてよく保存されている。これまで研究してきたクラミドモナスやウニ精子などの鞭毛運動から得られた知見を活用しながら、ヒト精子の活性化を目指した研究へと発展させていく。
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