2020 Fiscal Year Annual Research Report
High-Q・高帯電MEMS共振子を同調回路に用いた標準電波の電波発電技術
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19H02570
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
橋口 原 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (70314903)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | MEMS / エレクトレット / 電波発電 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度にエレクトレット電位を与えたHigh-QのMEMS振動子を作製し、疑似的な電波により受信した数mVの交流電圧で駆動することで、6倍程度の昇圧を確認できた。しかしながらダイオードで整流可能な電圧までは昇圧するには至らなかった。この原因を明らかにするため、シミュレーションを実施し、浮遊容量を20pF程度まで低減する必要があることが判明した。そのため、まず浮遊容量低減の効果を確認するために、埋め込み酸化膜層3μmのSOI基板を用いてデバイスの再作製を行った。作製したデバイスを実測したところ浮遊容量は約30pFであった。10倍程度の昇圧は確認できたものの、目標とする値をクリアできなかった。この原因として、再作製したデバイスのQ値が小さく、昨年度の20000以上という値に達しなかったことが今回の原因と考えられる。Q値を大きくすると振幅が増大し、電極間で接触してしまうことが問題となった。そこで次に抜本的に浮遊容量を小さくする手法として、SOI基板のハンドル層を誘電分離する技術の開発を実施した。ハンドル層を予め深堀りエッチングにより埋め込み酸化膜層までエッチングし、そこにSiの粉末を詰め込んだ後酸化するすることで、酸化膜による分離構造を作りこむアイデアである。Si粉末のみの酸化では、Si酸化膜の体積膨張により基板にひずみが入ることが判明した。そこで、Si粉末に融点が800℃程度のガラスを混合して作製した結果、ひずみの少ない誘電分離層を作製することができた。現在この手法によるデバイスを再度作製中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目標とする昇圧を未だ達成できていない。原因は浮遊容量の小さなデバイスにおいて、高いQ値を持つデバイスの実現ができていないことにある。
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Strategy for Future Research Activity |
SOI基板のハンドル層を誘電分離する手法で、再度MEMS振動子の作製を早急に実施する。Q値20000以上で、浮遊容量20pF以下のデバイスの実現を目指す。エレクトレット電位を与えたデバイスにアンテナを接続し、受信した数mVの交流電圧での共振駆動と昇圧は確認できているので、仕様を満たすMEMS振動子で電波を受信し、どの程度まで昇圧できるか実験し、最終的にはキャパシタンスへの充電まで確認したい。
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