2020 Fiscal Year Annual Research Report
Research and development on novel-semiconductor nanowire light emitting devices towards next-generation smart devices
Project/Area Number |
19H02573
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
舘林 潤 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (40558805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 修平 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 助教 (50803673)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ナノワイヤ / MOVPE / 希土類添加半導体 / 波長変換 / 赤色LED / フレキシブルデバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
二年度は、ワイドギャップ化合物半導体(窒化物半導体・酸化亜鉛を対象とする)のナノワイヤの成長技術を確立するとともに、成長条件の更なる最適化によるナノワイヤの高品質化を目指した。さらに、発光層として希土類添加層をナノワイヤ上に形成する成長技術を確立するとともに光学・構造特性を評価し物理物性の理解を行った。具体的には初年度と同様、サファイア基板上にワイドギャップ半導体ナノワイヤ構造を形成する結晶成長技術を確立した。窒化ガリウムではパターン基板を用いた選択成長法、酸化亜鉛では自然形成法を用いた。いずれの場合も、ナノワイヤ形成の際には成長温度・原料供給比及び成長速度がナノワイヤ形状を決定する成長条件である。窒化ガリウムについては成長温度(1060℃)やV/III比(40程度)のみならずパターンの形状を正方格子から三角格子に変えることによりナノワイヤの均一性が改善されることを見出した。一方、酸化亜鉛については自然形成を用いた成長方法の更なる最適化を行った。成長温度やをVI/IIを更に綿密に制御することにより高密度且つアスペクト比の高い(大凡20程度)ナノワイヤ構造を得ることに成功した。 次に、形成したナノワイヤに希土類元素を埋め込む技術を確立した。窒化ガリウムについては、ナノワイヤの成長条件や通常のEu添加膜とは大きく異なる成長条件でEu添加膜を成長することによりナノワイヤ上にEu添加シェル層を成長することに成功しナノワイヤ構造としては初めてEu添加膜からの室温赤色発光の観測に成功した。一方、酸化亜鉛については赤色蛍光体であるEuを添加したZnOナノワイヤについて直接励起による希土類発光特性の詳細な評価を行った。その結果、ナノワイヤ上希土類添加膜の発光強度が増強した原因として母体励起によるEu発光が起きやすい発光センターがナノワイヤ上で形成されることに起因することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
二年度は初年度で構築したナノワイヤ成長技術を基にしたナノワイヤ成長技術の更なる最適化と発光層導入技術の確立であった。対象とする材料は窒化ガリウムおよび酸化亜鉛であり、いずれの材料も二年度の段階でナノワイヤ構造を最適化することに成功しており、当初の目標を達成できている。またナノワイヤへの発光層導入技術についても、酸化亜鉛については発光層としてEu添加することに成功しているだけでなく、今年度はさらに希土類元素の直接励起測定による詳細な光学評価を行い発光強度の増強メカニズムを解明することに成功しており、この観点を鑑みても当初の予定以上に進展している。一方、窒化ガリウムについても、特に成長条件をダイナミックに変化させることにより希土類添加層の成長に成功するだけでなく、Euからの赤色発光を室温で観測することに成功した。本成果は量産性で優れているMOVPE法においては世界初の成果であり、この点では当初の計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は当初想定していた材料(窒化ガリウムおよび酸化亜鉛)のいずれにおいても当初の計画以上に進展していると考えている。今後は更なるナノワイヤ及び共添加膜の成長条件の最適化により高輝度化を目指すとともに、詳細な発光メカニズムを解明し発光強度が増強した原因を解明する。特に希土類添加窒化ガリウムナノワイヤの赤色発光はMOVPE法においては世界初の成果であり、詳細に光学特性や構造評価を行い知見を重ね、学会発表や論文発表を行うことによりコミュニティへ広くアピールを行う予定である。具体的な研究内容として、埋め込んだ希土類元素を有する発光層構造からの詳細な光学特性を評価する。ナノワイヤは上部だけでなく側壁など様々な結晶面方位が存在し、希土類元素の取り込まれやすさが面方位によって異なることから、発光特性も膜構造と異なることが予想される。顕微フォトルミネッセンスや色素レーザを用いた希土類元素の直接励起による発光特性評価など詳細の光学評価を行うことにより、ナノワイヤ中希土類元素の発光メカニズム解明を行う。 一方、今後は電流注入光デバイス実現に向けたプロセス技術を確立したい。具体的には、ナノワイヤへの電流注入を実現するためには樹脂などで空隙を埋めて平坦化させた後に電極を形成する必要がある。樹脂として熱硬化可能なビスベンゾシクロブテンを用い、埋め込んだ後にドライエッチングでナノワイヤの頭出しプロセスを行う(エッチバックプロセス)。樹脂のコーティング条件や硬化条件、更にはエッチバックプロセスの諸条件を最適化することにより電流注入デバイス構造実現のための要素技術の確立を図る。
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