2020 Fiscal Year Annual Research Report
機能性ナノチャネル構造を用いた網羅的1細胞解析法の創成
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19H02574
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
有馬 彰秀 名古屋大学, 工学研究科, 特任助教 (20781347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筒井 真楠 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (50546596)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ナノポア / イオン電流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、細胞の破砕条件を見出すため、顕微観察と微小電流計測を同時に実施することで細胞挙動のイオン電流シグナルへの帰属を目指した。まず同時計測のための、マイクロチャネル組込ポアデバイスの作製プロセスを確立させた。従来のシリコンウエハを基板としたマイクロ-ナノポアデバイス上に、エポキシ系の厚膜レジストであるSU-8による顕微観察用の流路をフォトリソグラフィーによって構築した。さらにこの流路に精密ボール盤によって貫通孔を掘削することで微小電流計測のための配線面と分離した。配線面にはマイクロ流路付きシリコーン樹脂(PDMS)ブロックを、観察面にはポリエチレンフィルムを貼り付け、測定に供した。加えて観察系に蛍光・位相差ユニットを導入し、細胞のより詳細な評価が行えるようにした。 計測では、モデル細胞として、球形浮遊細胞であるJurkat細胞を対象とした。リン酸緩衝液中、電圧印加によるポアでの単一細胞の通過・捕捉・破砕の各現象が顕微観察によって映像として得られるとともに、イオン電流シグナルへと帰属された。また、細胞直径がポアより大きい場合でも、条件によっては捕捉後に変形して通過していく現象も確認され、簡便迅速な変形能評価の可能性も示唆された。以上の通り、同時計測デバイスの動作実証に成功するとともに、昨年度の課題となっていたノイズの問題についても解決した。加えて捕捉・破砕部と検出部を分離させた新規ナノバイオデバイスにより、単一細菌由来のDNA計測にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1細胞の通過・捕捉・破砕の各現象が顕微観察によって映像として得られるとともに、イオン電流シグナルへと帰属されており、加えて新規デバイス構造によって単一細菌からのDNA抽出および検出に成功しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
単一細菌からのDNA抽出および検出の知見を細胞にも適用する。本研究課題で創出された顕微観察-微小電流計測を組み合わせた計測系を活用することで、効率的な抽出・検出条件を見出すとともに、細胞における種々のイベントについて、電流シグナルとの帰属を進め、1細胞解析に資するデータを収集する。発展として、光学系およびデバイス構造を改良し、UVや薬剤刺激に対する評価を1細胞レベルで行えるようにする。
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[Presentation] ナノポアデバイスを用いた単一生体粒子分析2020
Author(s)
有馬彰秀, 筒井真楠, 吉田剛, 横田一道, 立松健司, 山﨑智子, 黒田俊一, 谷口正輝, 鷲尾隆, 川合知二, 馬場嘉信
Organizer
応用物理学会 有機分子・バイオエレクトロニクス分科会 研究会