2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19H02575
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
前中 一介 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (70173721)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ジャイロ / 角速度センサ / 水晶 / 参照振動 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度で試作準備、基礎評価準備が進んだため、今年度は具体的に水晶ウエハから三角柱を切り出し、デバイスを試作・電気的に駆動して、参照振動が期待どおりに行われていることを光学的および電気的に確認した。また、デバイスの実装についても3Dプリンタを援用し、精度良く三角柱水晶をクランプしながら表面電極を取り出すためのパッケージを作製した。コロナの影響で、試作・実験が思うように進まず難渋したものの、二次試作によってあらかたの構造決定を行うことができ、共振周波数、機械的Q値、駆動信号の検出信号に対する影響、出力インピーダンスなどの基礎的な特性を評価することができた。出力インピーダンスが極めて高いため駆動信号の漏れの影響が大きくなり、これを低減・補償するために各種のアナログ回路手法を検討し、専用の制御/検出用プリント基板を設計、試作した。さらにデバイスに形成する電極構造も駆動信号が漏れ出さないようなガード電極の付加、同相ノイズを除去するための差動出力を持つデバイスなど、各種のバリエーションも加え三次試作に至っている。当初FPGAなどのディジタル処理を想定していたが、アナログ系で比較的安定に信号のダウンコンバートが可能であったため、当面はアナログ処理で評価を進めている。また、三角柱の各頂点近傍に設置した計6個の検出電極からの出力を適切なマトリクス演算することによって3軸の角速度検出、すなわち直交成分への分離が可能であることを数値シミュレーションにより明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナの影響で予算については繰り越し申請して、実験を後回し、設計や解析を前倒しして進めてきたが、やはり当初予定していたようには進まなかった。しかし、具体的なデバイスの二次試作(作製プロセスの確定と基本構造の試作)は行い、参照振動はじめ、デバイスに関する各種の物理的、電気的基礎特性についての評価はできた。これらの結果に基づき、シミュレーションにおけるフィッティングパラメータの抽出が可能である。さらに三次試作(形状の異なる電極構成ーガード電極有無、差動出力、2層配線などーのデバイスを試作)を行い、その評価を行える段階となった。また、評価のための回路設計、専用プリント基板の試作など、実践的評価に関する環境は整えられたと考える。また、出力インピーダンスが極めて高いことを要因とするインターフェイス回路設計の難しさがあるが、プリント基板で伝送線路様のパターンを用いてオフセット補償するというアイデアで解決を図っている。
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Strategy for Future Research Activity |
基本特性の評価は進行しているため、今後は三次試作品を含めて温度特性や実装環境における特性の変化、および検出回路のリワーク、および可能な限りの小型化を行う。さらに、実験結果よりシミュレーションにおけるフィッティングパラメータが入手できたため、これに基づいて水晶のカット方位や形状依存の特性を再計算する予定である。なお、計測された機械的Q値が当初の想定より小さめであるが、これは三角柱の固定方法や治具が影響を及ぼしているのではないかと考えている。このため固定方法などについて再検討を行ない、Q値向上を目指す。
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