2019 Fiscal Year Annual Research Report
A Production Device for Lipid Bilayer Bioreactor and Its Application for Biomarker Detection Technology
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19H02576
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
鈴木 宏明 中央大学, 理工学部, 教授 (20372427)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 人工細胞 / リポソーム / バイオリアクター / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,マイクロ流体工学を用いて簡便かつ高効率にナノ~ピコリットルサイズの巨大脂質膜小胞(ジャイアントユニラメラベシクル,GUV)を区画としたバイオリアクターを製造する方法を確立し,がんなどの疾患バイオマーカの高感度検出に応用する.現在,マイクロドロップレットを利用した生化学分析法が市場で製品化されるまで成熟したが,細胞の区画である脂質二重膜を容器として用いた系は基礎研究段階にとどまっている.その大きな要因として,均一・均質な膜小胞を製造する方法が未成熟であることが挙げられる.本研究では,最近オランダのW. Huck研究室で開発された,マイクロ流路を用いてW/O/W液滴のテンプレートからGUVを得る方法(Deng et al., JACS, 2016)を大幅に改良し,ドロップレット系で多く用いられる生化学反応に適合したリポソームリアクタシステムを開発する.さらに,申請者の研究室で開発したGUV内RT-PCR法(Tsugane & Suzuki, Sci. Rep., 2018)と組み合わせ,体液中に存在する疾患マーカーであるエクソソーム内mRNAとmiRNAを高感度で検出する基礎技術を開発する.初年度は,ガラスキャピラリを用いたW/O/W液滴の形成法,および,マイクロ流路を用いたW/O/W液滴の形成法,およびデウェッティグ現象を利用した液滴からのリポソーム形成に関する実験を行なった.リポソーム形成が可能なパラメータ範囲の調査を行い,本手法のフレキシビリティを検証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ガラスキャピラリを用いた均一なW/O/W液滴形成法の開発とそこからのリポソーム形成について,計画段階では1~2年目に行う予定であったが,1年目において,すでに基礎技術を確立することができた.マイクロ流路を用いた方法も同時進行で試したところ,まだ再現性に欠けるものの,リポソームの前駆体としてのW/O/W液滴の形成に成功しており,よい感触を得ている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,PCR試薬を封入し,本リポソーム内でPCRによる核酸検出反応が可能かを検証していく.PCR法においては,大きな温度変化のサイクルを繰り返し与えるため,リポソームの頑強性を検証する必要がある.申請者らが従来用いているエマルション界面通過法で作製したリポソームではPCRに成功しているため,大きな問題は予想していないが,早期にその可否を検証する必要がある.また,キャピラリを用いたW/O/W液滴形成法では,液滴のサイズ下限が直径50マイクロメートル程度であり,数十分子のmRNAを検出するにはサイズが大きすぎることが予想される.より小さな(直径20マイクロメートル以下)の液滴を形成可能なマイクロ流路法の再現性を改善し,PCR反応による核酸検出のレンジを広げる.
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