2019 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ/ナノ空間の電気化学的pH制御技術の開発と細胞内ATP合成制御への応用
Project/Area Number |
19H02577
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
三宅 丈雄 早稲田大学, 理工学術院(情報生産システム研究科・センター), 准教授 (50551529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 善浩 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10223843)
三留 規誉 沼津工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (90431981)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | バイオプロトニクス / pH制御 / ATP合成酵素 / ミトコンドリア / 電気化学計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,研究者らがこれまでに開発してきた水素イオンと親和性の高い有機Protode電極を利用し,その近傍に好熱菌由来ATP合成酵素を含むリポソーム,あるいは,ATP合成活性の高いブタ心臓由来の心筋細胞中ミトコンドリアを設置することで,ATP合成酵素によるATP合成機能を包括的に評価し(酵素分子レベルから細胞内レベルにおいて理解),デバイスによってプロトン駆動力を制御し、ひいてはATP合成を制御できるインタラクティブバイオ界面を構築することを研究目的とする. 上記課題は,4年で完成させる計画を立てており,初年度(2019年度)においては,申請者が独自開発したpH制御有機電極のマイクロパターニングおよび性能向上に取り組む.2020-2021年度においては,マイクロ有機電極上に研究分担者が独自開発したATP合成酵素を含む脂質二分子膜を形成し,ナノ間隙内pHを電気化学的に制御することでATP合成制御を実現させる.2022-2023年度において,櫛型マイクロ有機電極上で細胞を培養し,プロトン刺激によってマイクロスケールの細胞内ミトコンドリアからのATP合成を制御することで,完成させる。 初年度において、以下に示す3項目の開発に成功した。 1.1pH制御有機電極のマイクロパターニングおよび性能向上。2.1電気化学式pH制御による細胞膜ATP合成酵素機能の制御:電気化学式pH制御電極上への脂質二分子膜のベシクル展開 ・ATP合成酵素機能のプロトン計測および刺激制御。3.1電気化学式pH制御による細胞内ATP合成制御:電気化学式pH制御電極上への細胞接着
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上記に記述した1.1に取り組むことが、初年度の目的であったが、1.1のみならず、2.1(2020-2021年度)に必要な主データを取得すること、さらに3.1に関する基礎データを取得することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、2.1「電気化学式pH制御による細胞膜ATP合成酵素機能の制御」を完成させ、論文としてまとめることを主たる目的とする。 具体的には、研究分担者によって開発されたATP合成酵素(10個の水素イオン輸送によって3個のATPが合成される)を含むリン脂質(大豆由来Type II-S)でベシクル溶液を作製し,SPAマイクロ電極上にベシクル展開する.この際,有機電極上に膜を単層で展開させるための振盪強度や溶液濃度の調整を行う.ATPの加水分解によってバルク溶液中からSPA有機電極へ流れ込むプロトン流を発生させ,リン脂質膜とSPA電極のナノ間隙におけるpH計測に加え,プロトン電流を計測する.これにより膜内外におけるプロトン濃度勾配を把握し,さらに負電圧の印加によって生じるプロトン電流(プロトンの抽出)を計測することでATP合成酵素の活性を評価する.一方,電圧を正に印加するとSPAからナノ間隙へプロトンが注入され,それに伴う膜内外のプロトン濃度勾配の発生により合成されるATP濃度を計測することで,リン脂質膜に存在するATP合成酵素機能を制御する.
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