2020 Fiscal Year Annual Research Report
Novel fact on the mechanisms of high-temperature superconductivity
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19H02580
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| Research Institution | Niigata University |
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Principal Investigator |
佐々木 進 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (80323955)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下山 淳一 青山学院大学, 理工学部, 教授 (20251366)
大野 義章 新潟大学, 自然科学系, 教授 (40221832)
渡邉 信嗣 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 准教授 (70455864)
椋田 秀和 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (90323633)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | 高温超伝導 / Cu核スピン / Pr247 / 鎖構造誘起超伝導 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は，大きな進展があった。まず，研究全体の背景と目標を述べる。
【背景】応用が期待されている高温超伝導においては「銅と酸素からなる平面構造が超伝導を誘起する」との定説がある。一方で，鎖構造を有する高温超伝導のなかには「鎖構造こそが超伝導を誘起する。平面構造は絶縁状態である」との報告もあるが，極めて少数であり，国内外で認知されたとは言い難い。これまで代表者は「物質中の核スピンの応答信号から，物質内部の情報を原子レベルで得ること」を手段とする研究に従事してきた。数年前には，下山分担者が，完璧な鎖構造誘起超伝導の合成に成功した。
【目的】独自の超高感度核スピン計測により，鎖構造の核スピンは超伝導状態下にある一方で，平面構造の核スピンは絶縁状態下にあることを示し，新奇な鎖構造誘起の超伝導を実証する。
【計画】自作改良型の装置を駆使し，超高感度核スピン計測により 初年度に必要条件「平面構造中の銅の核スピンが絶縁状態であること」を，次年度以降に十分条件「鎖構造を形成する銅の核スピンが確かに超伝導下にあること」を示し，鎖構造誘起の超伝導を実証する。
【今年度の達成項目】今年度は，低温（2K)でのCu-NQRスペクトルを詳細に調べた。その結果，室温で平面構造にあるCu-NQR信号は，低温では全く観測されなかった。この消失した信号は，高周波（80MHz-130MHz）に存在することが明らかとなった。この結果，平面構造のCuは，低温では反強磁性絶縁状態であることが明らかとなった。これにより，本研究課題の「必要条件」すなわち，平面構造は超伝導発現に寄与しない」ことが実験的に明らかとなった。
さらに，データとしては予備的ではあるが，鎖構造中のCu核スピン縦緩和過程から，超伝導ギャップが開いていることが明らかとなった。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
【2019年度の目的】平面構造が超伝導に寄与していないことを，室温と低温とのCu-NQRスペクトルから明らかにする。
達成状況：最大目的であったヘリウム再凝縮装置の調達が年度末になったため，実質的な核スピン計測は次年度になって開始した。
【2020年度の目的】初年度の目的に加えて，鎖構造中のCu核スピンの縦緩和率より，超伝導転移温度Tc以下で超伝導ギャップが開くことを見極める。
【2020年度の達成状況】初年度の目的を完全に達成するとともに，次年度の目的もほぼ達成した。さらに，二重鎖構造に限らず，一重鎖構造中のCu核スピンにおいても，Tc以下で超伝導ギャップが開いていることを，実験的に明らかにした。
以上より，当初の計画以上に進展している。
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| Strategy for Future Research Activity |
2020年度までの達成状況を受けて，最終年度は
（１）二重鎖構造中のCu核スピンの縦緩和率を正確に求め，温度依存性を明確にする。これを受けて，常伝導状態において，電子間相互作用が強いのか，それとも擬一次元性が強いのか，理論家との連携を密にして明らかにする。
（２）二重鎖構造中のCu核スピンの縦緩和率を，超伝導状態において極低温まで測定し，超伝導の対称性がs波かd波か，を明らかにする。
（３）一重鎖構造中のCu核スピンの縦緩和率を，正確に計測し，超伝導ギャップが物質内においてどのような空間依存性を有しているかを明らかにする。
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