2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19H02597
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
治田 充貴 京都大学, 化学研究所, 准教授 (00711574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅 大介 京都大学, 化学研究所, 准教授 (40378881)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 電子状態マッピング |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は電子状態マッピングの確立に必要な基礎技術の研究を行った。原子分解能での電子状態マッピング実現のためには、EELSスペクトルデータを積算することで試料ダメージを抑制しつつ、スペクトルのSN比を向上させる必要があることがわかっていたが、本年度は統計学的な知見からCCDカメラのノイズ低減法について研究を行い、その手法の確立に至った。その結果、非常に微弱な信号強度も検出できるようになり、入射電子1個でもスペクトル強度として検出できることを実証し、従来問題となっていたノイズを劇的に改善する手法を国際誌に報告した。Haruta et al., Ultramicroscopy, 207, 112827 (2019). また、ELNESの解釈を広げる研究を行い、遷移金属のL-edgeを多重項計算により解釈することで結晶場分裂や実空間での結合長が高い精度で導出できることを見出した。 さらに、上述の手法を駆使することで、電子状態マップに関する研究を遷移金属酸化物に対して行った。遷移金属L-edgeや酸素K-edge中のスペクトルの微細構造を用いた電子状態マッピングを行い、従来元素マッピングでは元素が当方的な丸型として元素が観察されていたものが、電子軌道の異方的な分布を反映して、僅かに楕円状に観察されることを実験的に確認することができた。また、電子状態マッピングに必要な理論計算の検討も行い、伝導帯の電子密度分布を第一原理計算により行った。 さらに、試料を液体窒素温度で観察可能な低温ホルダーを導入し、低温での原子分解能観察に向けた実験的検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電子状態マッピングに必要な基礎的な測定技術の確立を行うことができ、かつその結果が国際誌に受理されたことで広くこの手法を広げることができた。また、それにより実験のSN比が劇的に向上したおかげで、電子状態マッピングにおいて実験的に優位な差を有したデータを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、引き続き電子状態マッピングとして、電子軌道そのものの分布を反映したマッピングを得るために、酸化物の酸素のp軌道(px, py, pz)軌道の可視化や、3d軌道の異方的な特定の軌道の可視化に関する研究を行う。 さらに、銅酸化物を対象とした高温超伝導酸化物に対してホールの原子分解能での実空間分布について研究を行う。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Anomalous Photoinduced Hole Transport in Type I Core/Mesoporous-Shell Nanocrystals for Efficient Photocatalytic H2 Evolution2019
Author(s)
Zichao Lian, Masanori Sakamoto, Yoichi Kobayashi, Naoto Tamai, Jun Ma, Tsuneaki Sakurai, Shu Seki, Tatsuo Nakagawa, Ming-Wei Lai, Mitsutaka Haruta, Hiroki Kurata and Toshiharu Teranishi,
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Journal Title
ACS Nano
Volume: 13
Pages: 8356-8363
DOI
Peer Reviewed
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