2019 Fiscal Year Annual Research Report
全固体電池における固固界面イオニクス:構造物性相関の解明
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19H02603
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
白木 将 日本工業大学, 基幹工学部, 教授 (80342799)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リチウム2次電池 / エピタキシャル薄膜 / スパッタリング法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、固体電解質の薄膜作製とイオン伝導計測、ならびに薄膜型全固体電池の作製と電解質/電極界面の界面抵抗評価を行った。また、スパッタ発光の分光計測システムを構築するとともに、薄膜の結晶構造を評価するためのX線回折装置を新たに導入した。 (1)固体電解質の薄膜作製:大気中で化学的に安定なNASICON型固体電解質Li1+xAlxTi2-x(PO4)3(以下、LATP)の薄膜作製を行った。スパッタリング法を用いてLATP薄膜を作製し、大気中での加熱処理によりLATPのエピタキシャル薄膜を合成できることを明らかにした。また、アモルファスLATP薄膜がLATPのバルクと同程度の高いイオン伝導度を示すことを確認した。 (2)薄膜型全固体電池の作製と評価:5V級の高電位正極材料ニッケルマンガン酸リチウム(LNMO)のエピタキシャル薄膜を作製し、またLNMOエピタキシャル薄膜を用いた薄膜型全固体電池を作製・評価して、LNMO界面の面方位によって界面でのイオン伝導が変化することを見出した。具体的には、固体電解質Li3PO4(LPO)との界面において、LNMO(100)界面がLNMO(111)界面よりも低い界面抵抗を示すことが分かった。 (3)スパッタ発光分光計測システムの構築:高品質な電池材料薄膜の合成を目的として、スパッタリング法を用いた成膜中に発生するプラズマ発光の分光計測システムを構築した。また、LNMOやLATP、LPO、Niのスパッタ発光分光計測を行い、成膜状況のモニタリングが可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高イオン伝導度を示すNASICON型固体電解質LATPの薄膜作製に成功した。また、5V級正極LNMOを用いた薄膜型全固体電池を作製し、固体電解質LPO/正極LNMO界面において、極めて低い界面抵抗を実現するとともに、界面構造の違いにより界面抵抗が変化することを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究初年度は、スパッタリング法を用いて固体電解質LATPの薄膜作製を行った。今後は、パルスレーザー堆積法(PLD)を用いてLATPの薄膜作製を行うとともに、合成条件の最適化によりイオン伝導の高いLATP薄膜の作製を目指す。また、LATPを用いた薄膜型全固体電池の作製と電池動作、電解質/電極界面の評価を行う。
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Research Products
(16 results)