2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19H02613
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
吉川 洋史 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (50551173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 美帆子 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(RPD) (20623903)
吉村 政志 大阪大学, レーザー科学研究所, 教授 (60314382)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | レーザーアブレーション / 結晶成長 / 有機結晶 / 非線形光学結晶 / レーザー操作 / 光干渉イメージング / 短パルスレーザー加工 / フェムト秒レーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、研究代表者らが独自開発した「レーザー破壊による結晶成長促進法」を基盤とした有機結晶の大型化・高品質化アプローチを開拓することにある。 令和元年度はその第一段階として、レーザー破壊(レーザーアブレーション)のメカニズムに大きな影響を及ぼすパルス時間幅の効果について重点的に検証した。具体的にはナノ秒~フェムト秒でパルス時間幅が可変なレーザーシステムとアミノ酸結晶を用いて、結晶の破壊特性や成長様式への影響を重点的に調べた。その結果、パルス時間幅が短いほど、多結晶化することなく単結晶状成長を誘導できることが明らかとなった。その原因を調べるために、結晶表面の形状を原子間力顕微鏡や光干渉顕微法で詳細に調べた。その結果、パルス時間幅が短いほど結晶へのダメージが小さくなり、約100フェムト秒のレーザーパルスの場合には、回折限界以下の微小かつシャープなエッチングが形成できることがわかった。これらの結果は、フェムト秒レーザーによる多光子励起および光力学的アブレーションプロセスにより、結晶へのダメージが最小限に抑えられ、単結晶成長が誘導されたことを示唆している。さらに、このように見出されたパルス時間幅の最適条件を用いることで、通常育成の場合(レーザー照射無し)の数倍の厚みを有するL-フェニルアラニン結晶を作製できることが明らかとなった。以上の結果は、The Journal of Physical Chemistry C誌に発表し、Supplementary Cover Artに選ばれている。現在これらの結果に基づき、有機電気光学結晶作製への応用にも取り組み始めている。 また、以上の成果に加えて、様々なレーザープロセスによる結晶化制御に関する研究にも取り組み、それらは3報の論文発表に至っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初に想定していたレーザーパラメータ依存性に関する研究成果を得ることができ、論文発表に至っている。また本結果に基づき、機能性結晶作製への応用などの次のステップにも進むことができており、本研究は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、種々のレーザーパラメータを対象に結晶成長に与える影響を詳細に調べていくととともに、様々な種類の有機結晶への応用を試みる予定である。
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Research Products
(15 results)