2019 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding the crystallization mechanism of amorphous van der Waals layered materials
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19H02619
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
Fons JamesPaul 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 上級主任研究員 (90357880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 孝太郎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究員 (30727764)
長谷 宗明 筑波大学, 数理物質系, 教授 (40354211)
齊藤 雄太 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (50738052)
須藤 祐司 東北大学, 工学研究科, 教授 (80375196)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 層状カルコゲナイド / テルライド / 遷移金属ダイカルコゲナイド / スパッタリング法 / 結晶化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、MoTe2薄膜のスパッタ成膜に先立ち、類似の層状テルライドであるSb2Te3やBi2Te3について、ターゲット組成と実際の薄膜組成の関係を調査した。その結果、使用した合金ターゲットと薄膜において組成が異なることが明らかになった。類似の現象が予測されたため、MoTe2合金ターゲットのみを用いた場合の組成を評価した結果、Moが不足した組成になることがわかった。そこで、Moの純金属元素との同時成膜によって、組成を制御した成膜を行なった。作製したMoTe2薄膜について、X線回折法やラマン分光装置、X線吸収法などにより評価し、現在は結果をまとめ、論文作成中である。 コヒーレントフォノン測定の予備実験を兼ねて、薄膜ではなく、MoTe2の単結晶のフレークを用いた実験を行なった。測定に用いたMoTe2単結晶は1T’相という高温安定相である。ポンプ-プローブ型の時間分解反射率測定を行なった結果、得られたスペクトルは1T’相のラマン分光で得られるスペクトルと概ね一致したが、低周波数領域に、1T’とは異なる低温安定相のTd相由来と考えられるピークも観察された。これは、光誘起によってMoTe2結晶の対称性が変調できることを示唆するものであった。現在、薄膜試料において、上記の1T’に加え、2H結晶相、およびアモルファス相を作製し、測定を行う準備をしているところであり、薄膜における相の変化と、コヒーレントフォノンの関係について明らかにしていく計画である。 第一原理計算を用いて、コンピュータ上でMoTe2を融解、急冷し原子配置がランダムなアモルファスモデルを作成し、その後融点以下の温度で加熱することで結晶化プロセスの再現を行なっている。今後、作成したアモルファスモデルの実験との比較や、アモルファスから結晶化する際の相変化挙動について詳細に調査していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
相の異なるMoTe2薄膜を作製することに成功し、すでにいくつかの分析も開始している。コヒーレントフォノン測定においては、単結晶試料ではあるが、論文としてまとめることもできた。引き続き、研究目標が達成できるよう、連携しながら研究を遂行していく。
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Strategy for Future Research Activity |
アモルファスMoTe2薄膜の作製と結晶化熱処理を行い、熱処理条件によって得られる結晶相を制御できることがわかった。これら構造の異なる様々な薄膜試料において、放射光施設(SPring-8)でX線吸収法(XAS)の測定を行なった結果を詳細に解析することで、アモルファス、結晶相MoTe2薄膜の局所構造の解明を試みる。 異なる相のMoTe2薄膜の作り分け技術が確立されつつあるため、今年度は種々の材料特性の評価を実施していく計画である。アモルファスから結晶相へと相変化する過程のダイナミカルな特性について、示差走査熱量測定(DSC)を用いて昇温させながら熱量変化をその場観察を行う。速度論に基づく解析を行うことで、結晶化の要素現象である核生成や粒成長のメカニズムについて特徴づけることが可能となる。 結晶化前後の薄膜の微細組織については、透過電子顕微鏡(TEM)によって直接観察を行う。特に、原子レベルの分解能を有する装置を用いて、高分解組織や原子レベル組成マッピングといった測定を行う。 また、コヒーレントフォノン測定は、先行実験の経験を生かしながら薄膜試料の測定を行う。 第一原理計算を継続して行い、結晶化現象を再現できるかについても検討しつつ、各種実験との比較も行っていく。
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Research Products
(8 results)