2019 Fiscal Year Annual Research Report
Single-shot ultrafast burst imaging in infrared band by quantum illumination scheme
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19H02632
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
神成 文彦 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (40204804)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 量子光学 / 量子イメージング / フェムト秒レーザー光学 / 超高速コマ撮り計測法 / 中赤外イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,量子イルミネーション法に単一ショットコマ撮り超高速イメージング法(SF-STAMP)を組み合わせることで、CCDカメラでは計測できない中赤外域における超高速イメージング(量子STAMP)の実現をめざすものである。装置は,2段の光パラメトリック変換(SPDC)とシグナル光間の干渉計測、およびSF-STAMP光学系から成る。SPDCの励起にはいずれも線形周波数チャープしたフェムト秒レーザパルスを用いる。励起パルスの線形周波数チャープ特性をシグナル光のみに転写するには疑似位相整合KTP結晶(PPKTP)のtype-II位相整合を利用する。 初年度は初段のSPDCにおいてPPKTP結晶を用いた量子相関光子対発生の実験を行った.励起には波長800 nmのフェムト秒レーザー再生増幅器からの繰り返し周波数1 kHzのレーザーパルスを2倍高調波変換して用いることで,波長480 nmのシグナル光と波長2.4 μmのアイドラ光発生を行い,EM-CCDカメラを用いてシグナル光発生を確認した.現在の課題は,type-II PPKTPによる光子対発生レートが非常に低く,高感度計測器をもってしてもSNRの確保が十分ではない点にある.量子STAMPにはこのType-II PPKTPの使用が不可欠であるが,まだ報告例のないパルス量子イルミネーションから順次確認していくためには,利得の高い非線形結晶を用い,2段の光パラメトリック変換を用いたシグナル光間の量子干渉計測のノウハウ獲得を含めた原理確認から順次進めて行くのが得策と考え,研究スケジュールの修正を行った.そこで,SPDC利得の大きいPPLN結晶に変更し量子相関光子対発生実験を行い,アイドラ光子の2段目の光パラメトリック増幅も確認でき,量子イルミネーション法を用いて中赤外pump-probe計測を可視光パルスで検出する実験の準備が完了した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Type-II PPKTPを用いた光パラメトリック周波数下方変換における光子対発生レートが非常に低いことが想定外であった.type-I 結晶では十分な性能を示すことから,使用した非線形結晶の性能を確認することが必要である.ただし,高価な結晶であり幾つも揃えて比較はできないので,まずは研究の進捗を考えて,まだ報告例のないパルス量子イルミネーションから順次確認していのが得策と考え,利得の高い非線形結晶PPLNを用い,2段の光パラメトリック変換を用いたシグナル光間の量子干渉計測のノウハウ獲得を含めた原理確認から取り組む計画に部分的変更した.この回り道により,アイドラ光子の2段目の光パラメトリック増幅も確認でき,量子イルミネーション法を用いて中赤外pump-probe計測を可視光パルスで検出する実験の準備が完了した.Type-II PPKTPでの周波数チャープパルス励起光子対発生に関しては次年度に集中して行う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
量子イルミネーション法を用いて中赤外pump-probe計測を可視光パルスで検出する実験を行うことで,これまで報告例のないフェムト秒レーザーパルスによる量子イルミネーション法の実現と,Si検出器を用いた中赤外時間分解計測を行う.この計測には周波数チャープパルス励起は用いないので,type-0 PPLNが利用可能である. この実験と平行してType-II PPKTPのSPDC特性調査を行う.波長405nmのCW光源を用い,位相整合条件(温度依存性)と変換効率(光子対発生レート)を定量化し,さらにフェムト秒レーザーで励起した際の結晶内分散補償,偏光分散補償について対応策を含めて検討を行い,光学系の改訂を行う.おそらく分散補償が重要で現行のセットアップにおいて不足しているのではないかと予想している. PPKTPの使用に目処がついた時点で,周波数チャープ励起パルスによる周波数チャープシグナル光子と単一波長アイドラ光子の発生を確認し,2段目の光パラメトリック増幅で,アイドラ光がプローブした情報を周波数チャープしたアイドラ光子に転写する実験を行う.この際,光パラメトリック変換増幅の利得が高いとSPDCにより入射したアイドラ光と相関のないシグナル光が発生するので,励起強度の上限を調べる必要がある. 1段目のSPDCで発生した周波数チャープシグナル光と干渉計測することで本手法の原理確認となる.さらに干渉系出力をSF-STAMP光学系に導いてCCDイメージ計測をすると本提案手法が完成となる.ただし,STAMP光学系のスループットが重要でありSNRを高くするために,平行して別途開発中の,マイクロレンズアレイを用いたLA-STAMPを用いる.本装置はバンドパスフィルターを用いないのでイメージングに於けるプローブ光利用効率は圧倒的に高いという利点を有していることがすでに実証済みである.
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