2020 Fiscal Year Annual Research Report
希土類酸化膜光導波路によるオンチップ光子-電子コヒーレント結合
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19H02636
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Research Institution | NTT Basic Research Laboratories |
Principal Investigator |
俵 毅彦 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, フロンティア機能物性研究部, 主幹研究員 (40393798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 智 北海道大学, 工学研究院, 教授 (10221722)
後藤 秀樹 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 企画, 所長 (10393795)
尾身 博雄 大和大学, 理工学部, 教授 (50257218)
徐 学俊 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, フロンティア機能物性研究部, 主任研究員 (80593334)
章 国強 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, フロンティア機能物性研究部, 主任研究員 (90402247)
稲葉 智宏 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, フロンティア機能物性研究部, 研究員 (90839119)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 希土類酸化物 / 薄膜 / コヒーレント結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は①167Er:REO同位体電子ダイナミクスの周波数領域評価、および②Si/167Er:REO/Siのスロット型光導波路の導波特性改善、を並行して行った。 これまで167Er:REOによる光コヒーレント操作を実現してきたが、操作に用いるレーザ光周波数の安定性向上が課題となっていた。2020年度は安定化された光周波数コムの櫛1本に対し、操作レーザの周波数をロックさせる機構を開発し、10Hz以下に周波数揺らぎを抑制することに成功した。この方法は、光周波数コムが広い発振周波数帯域を有していることから、従来方法では不可能であった光通信波長帯の任意のレーザ波長で安定化が可能となる画期的なものである。この結果、簡便な測定系で167Er3+同位体電子のダイナミクスを周波数領域で明らかにすることが可能となった。 スロット型導波路は、低屈折率層にTM偏光を導波させるものであり、クラッド層への光染み出しが比較的大きいために、クラッド層の吸収損失を十分に低減する必要がある。2020年度はこれまでに用いていた上部Siクラッドに加え、各種誘電体クラッドを検討し、その導波損失を評価した。上部クラッドをSiNに変更し、導波路構造パラメータを厳密に設計することで、これまでに比べ2桁以上導波損失を低減することに成功した。これによりSiN/167Er:REO/Siスロット導波路を用いたSi基板上光回路の実現に目処が立った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究項目1および2は、当初計画通り2020年度までに進める計画である。結晶作製に関し若干の遅れを認めざるを得ないが、上述の研究実績は概ね計画通りである。2021年度にこれまでの成果を融合させ、全体計画を達成する見通しである。
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Strategy for Future Research Activity |
上記①で得られた周波数領域でのダイナミクス計測と②の成果である低損失スロット導波路を用い、167Er:REO薄膜の成長とコヒーレンス時間T2の評価および167Er電子の光コヒーレント操作を実現する。具体的には167Erの超微細構造準位間の光学遷移に対し2K前後の低温下でSHBおよびPE測定を行う。周波数および時間領域の両側面からコヒーレンス時間T2の評価を行うとともにパルス断面積の制御条件を得る。この時、バルク167Er:Y2SiO5で実現されているゼロ磁場下での超微細構造サブレベル間のT2 = 100ミリ秒を達成目標とする。
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Research Products
(9 results)