2019 Fiscal Year Annual Research Report
磁気1次反転曲線を用いた原子炉材料の中性子照射脆化評価の有用性の検証に関する研究
Project/Area Number |
19H02640
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
小林 悟 岩手大学, 理工学部, 教授 (30396410)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 磁性 / 照射脆化 / 非破壊検査 / 原子力材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
磁気1次反転曲線(FORC)法は近年急速に発展しつつある磁気的手法であり、磁性材料特性の平均値を評価する磁気ヒステリシス法では得ることができない保磁力分布及び相互作用分布を同時に評価可能である。本研究では、ポータブル型FORC測定装置を開発し、国内外の研究施設が保管する中性子照射済み試験片についてFORC測定を系統的に実施することで、照射脆化に対する新たな磁気的非破壊評価法として、FORC法の有用可能性を検証し総括することを目的としている。 目的の達成のため、令和元年度は、本研究に必要なポータブル型FORC測定装置の開発を進めた。具体的には、小型電磁石、精密コイル附属の棒状試料専用治具、計測システムを整備しポータブルFORC測定装置のプロトタイプを構築した。また、装置の性能評価と改善のため、組成が単純な純鉄や照射脆化模擬材であるFe-1wt%Cu 熱時効材の切り出しと準備を進めた。将来的な国内外研究施設でのFORC測定を見据え、共同研究先であるハンガリー科学アカデミー・エネルギー研究所の関連研究者と測定試料等に関する打ち合わせを行った。 また、一般に中性子照射脆化は複雑な微細構造変化(種々のナノスケール欠陥生成、転位の再配列など)を伴うため、標準試料等を用いて、FORC特性と微細組織の相関に関するデータ採取と基礎知識蓄積が必要不可欠である。そのため、SQUID磁化測定装置を用いて、比較的単純な鉄系材料を用いたFORC特性の基礎データ採取も進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で必要なポータブル型のFORC測定装置のプロトタイプ作成を行うことができたとともに、中性子照射脆化評価のためのFORC特性の基礎データ採取を進めることができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は中性子照射材のFORC特性を精度良く測定するために、製作したポータブル型のFORC測定装置の性能評価と改善を行う。試料として、組成が単純な純鉄、照射脆化模擬材であるFe-1wt%Cu 熱時効材をまず標準試料として用い、同一試料を用いたSQUID磁化測定装置(岩手大学所有)の結果と比較検討を行いながら装置の最適化を進める。令和2年度後半からは東北大学金属材料研究所大洗施設、令和3年度からはハンガリー科学アカデミーエネルギー研究所でのFORC測定に着手する。最終年度の令和4年度は、種々の中性子照射材のFORC測定結果に基づき、中性子照射脆化の非破壊評価に対するFORC法の有用性を総括する。
|
Research Products
(9 results)