2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of trace radioactive calcium analysis method by isotope separation using atomic Rydberg levels
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19H02646
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
岩田 圭弘 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 福島研究開発部門 福島研究開発拠点 廃炉環境国際共同研究センター, 研究職 (20568191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮部 昌文 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 福島研究開発部門 福島研究開発拠点 廃炉環境国際共同研究センター, 研究主幹 (20354863)
長谷川 秀一 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (90262047)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 放射性カルシウム / リュードベリ準位 / レーザー共鳴イオン化 / 同位体分離 / 偏光制御 / 同位体選択性 / クリアランスレベル / 原子・分子物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
原子力発電所の解体時に発生する大量のコンクリート廃棄物を迅速に処理する上で、主成分カルシウム(40Ca)の中性子放射化により生成する長寿命核種のカルシウム41(41Ca, 半減期約10万年)が問題となる。本研究では、クリアランスレベル100 Bq/g 以下の41Caを40Caから分離して高感度かつ簡便に分析することを目的として、①レーザー偏光制御による奇数同位体の分離及び②奇数同位体リュードベリ準位のエネルギーシフトを利用した同位体選択性向上、の2点を組み合わせたレーザー共鳴イオン化による41Ca分析手法を開発する。
2020年度は、製作した波長422.8 nm及び389-392 nmの外部共振器半導体レーザー(ECDL)2本に対する周波数制御システムを構築した。また、従来の3段励起スキーム:422.8 nm-732.8 nm-840 nm及び本研究の2段励起スキーム:422.8 nm-390 nmによりCa原子を各々np 1P1, nf 1F3及びns 1S0, nd 1D2リュードベリ準位に共鳴励起・イオン化する光学系を構築した。本研究のスキームを用いてCa原子を50s準位に励起させ、レーザー2本の偏光条件により40Ca+/43Ca+信号量比に1-2桁程度の違いが見られたことから、当該リュードベリ準位を用いた偶奇同位体分離を実証した。また、50s準位についてCa安定同位体の同位体シフトを測定し、2段目の共鳴周波数について偶数同位体に対して43Caが高い側にシフトしていることを確認し、Ca+イオン基底準位の超微細構造に起因した奇数同位体リュードベリ準位のエネルギーシフトを観測した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は3年間の研究計画の2年目であり、40Ca+及び43Ca+イオン信号量に着目して①レーザー偏光制御による奇数同位体の分離及び②奇数同位体リュードベリ準位のエネルギーシフトを定性的に観測することが当初計画していた主な内容である。リュードベリ準位として50s準位を選択し、①及び②について計画通り観測できたことから、進捗状況についてはおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度までの進捗状況を考慮し、最終年度の2021年度は①Ca標準試料の作製、②複数のnsリュードベリ準位について偏光制御による奇数同位体の分離及び同位体シフト測定による奇数同位体リュードベリ準位のエネルギーシフト観測、③41Ca同位体選択性の評価及びコンクリート廃棄物分析への適用性検証の3点を主に実施する。
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