2021 Fiscal Year Annual Research Report
生命システムを支える非平衡自己組織化プログラムの機構と機能
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19H02668
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
並河 英紀 山形大学, 理学部, 教授 (30372262)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 非平衡 / 反応拡散 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は次の二つの研究を行った。 1.神経変性疾患タンパク質の非平衡自己組織化:アミロイドーシスではペプチドの毒性コンホマー化が脳脊髄液の流動により誘起されており、生命システムの構築・破綻と系の非平衡性(流動)との密接な関係が示唆されている。一方、申請者らのこれまでの研究を含め、生命システムを模倣した人工細胞膜を用いた研究の多くが静置されたシャーレなどの平衡空間で行われており、生命システムの本質の一つである「場の流動性」に由来する非平衡性が無視されている。そこで本研究では、アミロイドーシスの原因と考えられるAβペプチドの細胞膜への析出に関し、脳脊髄液の流動性を考慮した連続流通型マイクロ流路を用いた実験を行った。その結果、流動のある条件下においてAβの凝集化が速度論的に促進されることが確認された。ただし、すべての膜条件において促進されるわけではなく、特に核形成が遅い系において凝集体サイズが増加する傾向があることが確認された。 2.反応拡散構造に対する非平衡性の寄与:申請者らのこれまでの研究により、均一なゲル媒体において反応種Aと反応種Bの沈殿形成反応を特定の時空間分布にて発現させると、AとBの生成物Cが一定の規則性因子(α)で周期的析出する現象が発現することが明らかとなり、生体内の脱髄疾患などの類似構造との対比へ向けたモデル構築が進められた。このようなモデル実験系において、場の非平衡性が反応拡散構造の選択律に対して与える影響を調査した。具体的には、系に印加する物質濃度勾配を連続的に変調させた際に形成する反応拡散構造の転移を実験的に確認し、得られた結果をエントロピー生成速度解析と比較した。その結果、濃度勾配に依存して形成される反応拡散構造が転移する現象を観測することに成功した。更に、その転移現象が円とろぴうー生成速度最大原理に従う可能性があることを計算より示すことにも成功した。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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