2022 Fiscal Year Annual Research Report
Observation of Dynamic Fluctuation at Phase Changes and Study on the Mechanism
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19H02671
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Research Institution | Toyota Physical and Chemical Research Institute |
Principal Investigator |
西川 恵子 公益財団法人豊田理化学研究所, フェロー事業部門, フェロー (60080470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桝 飛雄真 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (80412394)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 動的ゆらぎ / 静的ゆらぎ / 相転移 / 柔粘性イオン結晶 / 核磁気共鳴 / スピン-格子緩和時間 / スピン-スピン緩和時間 / 表面融解 |
Outline of Annual Research Achievements |
ライフワークである「物質科学におけるゆらぎの研究」に対して、2022年文化功労者として顕彰された。ゆらぎのうち、本課題は特に動的ゆらぎに焦点を当てたものである。 相転移時のダイナミクスに動的ゆらぎが最も顕著に現れると位置づけ、核磁気共鳴の緩和時間測定で、相転移時の並進、回転運動の運動形態の変化に着目した。 液体⇔柔粘性イオン結晶(IPC)*1⇔結晶と相転移するN-butyl-N-methylpiperidinium hexafluorophosphateを試料として、1Hと19Fのスピン-格子緩和時間とスピン-スピン緩和時間(T1とT2)の温度依存性を測定し、3相間の相転移のダイナミクスを調べた。T1とT2は、それぞれ主にイオンの回転と並進のダイナミクスを反映している。Hは陽イオンにのみ、Fは陰イオンにのみ含まれるため、それぞれの動的挙動に関する情報を個別に得ることができる。IPCと液体の間の相転移では、1H-T1の温度依存性曲線が滑らかにつながっていることから、両相で陽イオンの回転運動が同じであると結論づけられた。19F-T1の曲線からも陰イオンの回転運動について同じ結論が導かれた。1H-T2と19H-T2の温度依存性曲線は、相ごとに飛びが有り、それぞれの相で異なるモードの並進運動をしていると結論された。IPC相だけでなく結晶相でも、並進運動する成分の出現が観測された。これらの相中で表面・界面融解が起こっており、部分融解層が動的ゆらぎを引き起こし、特に融解に関わっていることが示された。 *1:IPCは、イオンの配向秩序は融解しているが重心は秩序化しているイオン性物質の相と定義される。液体と結晶の中間状態であり、相転移時のダイナミクスを追うのに興味深い相である。またイオン液体は、一般に相転移が遅く、この点からも本テーマの試料として最適である。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(7 results)