2019 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質の機能発現における水素結合の役割に関するクライオ1分子観察による研究
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19H02672
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松下 道雄 東京工業大学, 理学院, 准教授 (80260032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊関 峰生 東邦大学, 薬学部, 教授 (60414009)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 1分子観察 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該課題の目的は、タンパク質の活性化における水素結合の役割を研究することにある。応募者は、光活性化酵素(OaPAC, Oscillatoria acuminata Photoactivated adenylyl cyclase)のクライオ1分子観察が、この研究に最適であると考えた。OaPACは光受容ドメインと酵素ドメインの両方を1個の分子で持っている珍しいタンパク質である。その発色団であるフラビンが光励起されると、フラビン-タンパク質間の水素結合が変化し、最終的に酵素ドメインにおいてAdenosine Triphosphate (ATP)から情報伝達物質Cyclic adenosine monophosphate (cAMP)が合成される。このため、OaPACは酵素反応に関わる水素結合を光でコントロールできる分子であり、水素結合とタンパク質活性との関わりを研究するのに最適な系である。このOaPACの光活性化前後の様子(フラビンの電子状態、OaPACの二次構造、三次構造、四次構造)をクライオ1分子顕微鏡で観察し、水素結合の変化が酵素活性化にどのように関わっているのかを分子構造の観点で研究する。 2019年度には、「課題A:OaPACの活性を阻害しない蛍光標識の検討」と「課題B:OaPACの三次・四次構造のクライオ1分子観察」に取り組んだ。課題Aでは、数十残基のアミノ酸を組み換えるだけで色素を標識出来る「テトラシステインタグ」を組み換えたOaPACの発現に取り組んだ。残念ながら、活性をもつOaPACには成功しておらず、来年度も継続しておこなう予定である。課題Bでは、顕微鏡の高度化をおこなった。その結果、ナノメートルの正確度(Accuracy)で色素1分子の位置を決定することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように、「課題A:OaPACの活性を阻害しない蛍光標識の検討」と「課題B:OaPACの三次・四次構造のクライオ1分子観察」はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、当初の予定通り、「課題A:OaPACの活性を阻害しない蛍光標識の検討」の準備が終わっている。2020年度はこの経験を元に、課題Aを完了する予定である。
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Research Products
(8 results)