2021 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質の機能発現における水素結合の役割に関するクライオ1分子観察による研究
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19H02672
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松下 道雄 東京工業大学, 理学院, 准教授 (80260032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊関 峰生 東邦大学, 薬学部, 教授 (60414009)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 1分子分光 / タンパク質 / 光センサー |
Outline of Annual Research Achievements |
生化学反応は複数の生体分子がつくる柔らかく複雑な系である。それにも関わらず、高い選択性で効率よく進む。このような反応には水素結合が関わっており、水素結合がつくるネットワークが、このような特異性を産み出していると考えられる。しかし、その実体はよく分かっていない。研究を困難にしている主な原因は、(1)反応に関わる水素結合以外にも無数の水素結合があるため、重要な働きをする水素結合を特定できず、(2)様々な準安定状態の平均が観測されるため、活性に重要な変化が埋もれてしまうからである。そこで、応募研究では、水素結合とタンパク質活性化の関係を研究するモデル系として、光活性化酵素(OaPAC, Oscillatoria acuminata Photoactivated adenylyl cyclase)を用い、そのクライオ1分子観察をおこなうことを目標としている。 本年度は水素結合状態を正しく知るための蛍光分子の開発をおこなってきた。その結果、Cy7に代表されるような近赤外蛍光性のシアニン色素を用いると、450 - 600 nmの波長領域の発色団の吸収スペクトルを発光励起スペクトルとして観測できることを明らかにした。OaPACへの蛍光標識が予想以上に難しく、来年度でOaPACの研究をまとめることが困難になってきたが、この系を用いて、OaPAC以外の光捕集系タンパク質の研究も同時におこなっていきたいと考えがえている。具体的には、これまで我々が1分子分光の実績があるLight Harveting Complexや、これまで観察をしたことが無いフィコビリソームなどである。どちらも天然状態で発色団を持っており、この発色団周りの水素結合に関する研究を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
OaPACへの蛍光標識が予想以上に難しく、来年度でOaPACの研究をまとめることが困難になってきている。一方、装置開発はほぼ終了し、その論文を執筆している。この装置を活かすために、他の光補修系のタンパク質への応用も試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の様に、OaPACへの蛍光標識が予想以上に難しく、来年度でOaPACの研究をまとめることが困難になってきている。そこで、OaPACの研究だけに拘らず、他の光補修系のタンパク質の研究を行っていきたい。
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Research Products
(4 results)