2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of an electron correlation theory for excited states of molecular aggregates
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19H02675
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| Research Institution | Kyoto University |
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Principal Investigator |
倉重 佑輝 京都大学, 理学研究科, 准教授 (30510242)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 電子状態理論 / 励起状態 / 分子集合 / 低ランク近似 / 密度行列 / エネルギー移動 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本年度は，前年度までに開発した活性空間モデルと呼ばれる電子配置の組み替えが頻繁におこる価電子空間での強い電子相関を対象とした低ランク近似に基づく集合系波動関数理論を拡張し，定性的にではなくさらに定量的な電子物性の記述を可能とする電子衝突など動的電子相関を考慮した手法の開発を行なった．具体的には低ランク近似による集合系波動関数を摂動展開のゼロ次出発点とする二次の多参照摂動法を開発した．この開発により，分子集合系におけるエネルギー移動や三重項移動，電子・ホール移動，電荷分離・再結合，一重項分裂や三重項対消滅など種々の集合系複合励起に対する励起エネルギー準位や安定構造の定量的な予測，そして透熱表現変換による状態間結合強度からの遷移確率の理論予測が可能となった．実用化を見据えた場合，現時点の実装では低ランク近似に基づく集合系波動関数の高次縮約密度行列がその次元の高さから計算のボトルネックとなるため，本手法の適用可能な活性空間のサイズが限られる．最近接の分子との電子相関効果の取り扱いは十分可能であるが，更に広範囲の分子との電子相関効果を考慮するために，部分系の固有関数の内部次元が計算量の増加をもたらさないよう高効率に計算する準備をした．具体的には，全体を分割した際の部分系を低ランク近似による圧縮形式のままで高次縮約密度行列を算出するアルゴリズムを開発し，具体的な実現可能性についてプロトタイピングによる解析を行った．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画した，低ランク近似による集合系波動関数をゼロ次の出発点とする二次の多参照摂動法について励起エネルギー準位と透熱表現変換による状態間結合を計算するプログラムの実装を完了した．また実際に開発した手法を用いてオリゴアセン分子性結晶中の三重項エネルギー移動における状態間結合の定量的な算出を行い，分子同士が近接する配置においては低ランク近似による無摂動状態の集合波動関数でも定量的な値が得られるのに対して，分子同士の距離が広がるにつれて電子衝突などに基づく動的電子相関の効果が支配的となり，本年度開発した多参照摂動法による定量的な計算の有効性を実証した．また分子集合体における準近接分子からの古典静電場効果をこえた相互作用などより大きな集合系への適用のため，現在の実装のボトルネックである集合系波動関数の高次縮約密度行列の計算の高効率な計算に向けた，部分系を圧縮形式のままで算出するアルゴリズムを開発し，高効率な実装に向けた準備を完了している．
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| Strategy for Future Research Activity |
今後は本年度に開発した，低ランク近似による集合系波動関数をゼロ次の出発点とする二次の多参照摂動法を，より大きな集合系への適用を可能とするため，全体を分割した際の部分系を低ランク近似による圧縮形式のままで高次縮約密度行列を算出するアルゴリズムの高効率実装を進める．これには，いくつにも分割された各部分系の縮約密度行列やハミルトニアンに相当する分子積分など，多数の多次元配列のテンソル縮約を様々な組み合わせで実行することが必要であり，組み合わせの数は指数関数的に増大していくことから，実用化のためには最大限高効率な実装が不可欠であることから，プログラム自動生成も含む洗練された実装手法を進める． 実装上の困難が生じた場合は，参照関数である低ランク近似による集合系波動関数から厳密な縮約密度行列を算出するのではなく重みの大きな重要な状態のみ選択するなど近似的な縮約密度行列をN表現性が崩れない範囲で効率的に計算するなどして解決する方策をとっていく．
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