2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of electron transfer dynamics theory of biological systems highly incorporating solvent response
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19H02677
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉田 紀生 九州大学, 理学研究院, 准教授 (10390650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 毅 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (80345917)
中野 晴之 九州大学, 理学研究院, 教授 (90251363)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 積分方程式理論 / 電子移動 / エネルギー移動 / 溶媒和ダイナミックス理論 / 分極応答理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体系の電子移動過程においては、電子供与体および受容体をとりまく生体分子や溶媒分子といった環境のさまざまな性質が反応性に影響を与える。特に水分子の分布や配向の変化そして分極といった応答は電子移動の反応性を支配する重要な要因である。本研究では、分子性液体の積分方程式理論を基盤として、電子状態理論および溶媒和ダイナミクス理論を組み合わせることで、高度に溶媒の応答を考慮した溶液内および生体内電子移動反応理論を構築する。この理論を用いて、生体内電子移動過程における電子状態変化と溶媒和ダイナミクスの相関を明らかにすることを目的とする。 本年度は、昨年度開発した、溶媒分極を取り入れた3D-RISM理論を基盤として、溶液内電子移動過程における非平衡溶媒和自由エネルギー算出法の開発、および、溶質の電子状態変化に応答した溶媒和ダイナミックス理論の開発およびプログラム実装を行った。開発したプログラムを用いて、溶液内イオン間電子移動モデルおよびパラニトロアニリンへ適用した。パラニトロアニリンは光励起によって分子内電子移動反応を起こすことが知られており、さまざまな手法のテスト系として利用されている。今回の研究では、パラニトロアニリンのπーπ*電子励起に応答した溶媒分極および溶媒和ダイナミックスを適用し、本手法の有効性を示した。 また、これに並行して、拡張MOZプログラムの開発・整備を行った。この拡張にあたっては応募者がすでに開発済みのMOZプログラムを基盤とした開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の軸となる溶媒分極可能モデルの開発と、それを基盤とした非平衡溶媒和自由エネルギー算出法の開発およびダイナミックス理論の開発が完了しており、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は今年度開発した手法を基に、電子状態理論との連成手法の開発を行う。さらに、これらの手法を生体内エネルギー移動関係分子へ適用し、同過程における溶媒分極およびそれに共役した緩和ダイナミックスの役割を解明する。
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Research Products
(4 results)