2021 Fiscal Year Annual Research Report
単一微小液滴が引き起こす光の量子効果を用いたタンパク質構造ゆらぎの一分子測定
Project/Area Number |
19H02678
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
迫田 憲治 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (80346767)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 微小液滴 / 蛍光増強 / イオントラップ |
Outline of Annual Research Achievements |
直径が数ミクロンの微小液滴に色素分子を溶存した場合,分子から放出される蛍光が液滴界面において全反射することで液滴内部に閉じ込められる.これにより,ある特定の波長において蛍光強度が増強される.また,過去の報告では,蛍光が液滴内部に閉じ込められることによって分子からの輻射速度が速くなる現象も見出されている.一方,我々は液滴に照射する励起光が液滴内部に閉じ込められること(励起光共鳴)による蛍光増強も観測している.本研究では,上記の蛍光増強および輻射速度の加速を用いて,単一微小液滴に溶存した分子の高感度観測を目指して研究を行った. 実験に用いた色素分子はローダミンB(RhB)およびキトンレッド(KR)である.我々が独自に開発したイオントラップを用いて,色素分子が溶存した単一微小液滴を空間捕捉し,レーザー顕微分光を行った. 蛍光強度の液滴径依存性を調べたところ,特定の液滴径においてRhBおよびKRからの蛍光が増強される様子が観測された.これは励起光共鳴に起因しているが,蛍光増強度はRhBとKRで異なっていた.この原因として考えられるのが,液滴界面におけるRhBおよびKRの分子配向の違いである.実験結果を解析した結果,KRのほうがより界面に平行に近い方向に分子配向していることが明らかになった. また,液滴に溶存した色素分子の蛍光寿命を測定したところ,RhBでは輻射速度の顕著な加速は観測されず,先行研究とは全く異なる結果となった.この原因は今のところはっきりとしていない.一方,KRの場合,バルク溶液に比べて微小液滴中では蛍光寿命が約8%速くなっていたが,蛍光寿命に液滴径依存性は見られなかった.過去の研究で見出された輻射寿命の加速は顕著な液滴径依存性が観測されているため,今回我々が見出した蛍光寿命の減少は,以前に報告されている現象とは異なるものであることが強く示唆される.
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)