2019 Fiscal Year Annual Research Report
Formation of "nano-ice", ultra-small ice crystallite in liquid water, elucidated by Raman spectroscopy
Project/Area Number |
19H02679
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
岡島 元 青山学院大学, 理工学部, 助教 (20582654)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ラマン分光 / 水 / フローイメージング / マイクロ液滴 / マイクロリアクター |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、今後の研究基盤となるデュアル分光計方式の多元的ラマン分光測定システムと、マイクロ流路中の冷却水を分析するための冷却フロー装置を構築した。また、マイクロ空間の溶液温度、反応温度の分析に関する研究を進め、国内外の学会で報告し議論を進めた。 デュアル分光計方式とは、2台の分光計を用いてひとつのラマン散乱光を分析することにより、幅広いスペクトル領域を同時に測定する方法である。この方法を用いて、本研究ではラマン温度(Stokes/anti-Stokes領域)、分子間相互作用(低振動数領域)、分子構造(指紋領域・高振動数領域)を、同時かつ精密に測定する多元的分析を計画している。研究代表者はこれまでの研究で、Stokes/anti-Stokes領域・低振動数領域を1台の分光計で精密に分析する測定システムを構築してきた。当該年度は、この測定システムにもう1台の分光計を組み合わせることにより、他のスペクトル領域(指紋領域・高振動数領域)をも一度に分析できるシステムを開発した。この方法の有効性・有用性の確認として、メカノクロミック結晶の格子振動(ラマンスペクトル)と発色(蛍光スペクトル)とを顕微鏡下で同時に分析できることを示した。また、冷却水の分析のため、水を均一核生成温度(およそ-40 ℃)付近まで冷却して測定するためのフロー装置を構築した。そのために高性能のペルチェユニットでマイクロチップを冷却する装置の開発と、結露せずに安定に観測するためのガスパージシステムを製作した。 マイクロ流路内の温度の研究は、研究代表者のこれまでの研究の派生であるが、本研究の一翼を担う。当該年度は、流路内部の水の温度分析について報告したほか、流路内部で化学反応を起こし、分子変換と温度を複合的に追跡する多元的なラマン分析について研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、翌年度から使用する装置の構築を行うことができた。 構築の過程で、水のラマン信号を高感度に測定するのに問題が生じたため、現有の光源を短波長・高出力のレーザーに交換して、装置を組み直した。また、マイクロ液滴を生成するためのマイクロ流路の検討や冷却装置の製作にも時間がかかってしまった。そのため、実際の試料を用いた性能評価などはまだであり、翌年度の課題となってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究がおおむね順調に進んでいるので、今後の研究も計画通りに進める。具体的には、当該年度に構築した測定システムを活用して、極小のマイクロ液滴を冷却し、分子間の振動から分子内振動まで幅広い領域をスペクトル解析する。まずは、定常的に冷却したマイクロ液滴の測定を行う。水の均一核生成温度(-40 ℃)近傍での液滴のラマンスペクトルからナノアイスのスペクトル成分を調べ、研究代表者のこれまでの研究と比較することで、構造についての詳細な知見を得る。次に、冷却直後のマイクロ液滴の過渡的変化を追跡し、時間変化と温度変化とを切り分けてスペクトル分析することにより、ナノアイスの形成・成長過程についての情報を得る。スペクトルデータの解析処理についても並行して検討を進め、得られた研究成果を順次公表する。
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Research Products
(8 results)