2020 Fiscal Year Annual Research Report
Formation of "nano-ice", ultra-small ice crystallite in liquid water, elucidated by Raman spectroscopy
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19H02679
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
岡島 元 中央大学, 理工学部, 准教授 (20582654)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ラマン分光 / 水 / フローイメージング / マイクロ液滴 / マイクロ流路 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、マイクロ水滴を形成するフローシステムの基礎となるY字型フロー混合系の分析を実施し、分子間の結合の組み替え時間や結合様式の変化の詳細を明らかにした。混合過程を定量解析するための枠組みを整備すべく、ラマン分光による測定や解析が容易なモデル化合物(1,2-ジクロロエタン(DCE)とシクロヘキサン)の混合現象を調べた。この研究では、DCEの回転異性体に注目し、それらのラマンバンドのピークシフトを指標として各異性体周囲の環境を調べる。Y字型流路にてシクロヘキサンと混合した直後のDCEを調べると混合直後(滞留時間0.15 s)ではgauche体がtrans体に比べて極性の高い(高濃度のDCE)環境にあり、その傾向が混合後1 s以内に徐々に消失することが示された、混合直後は主にgauche体を中心とするDCEのドメインが残存するが時間経過に従って分子間結合が組み換えられて均一な混合状態に緩和することを示唆する。このように、注目する分子種のラマンバンドを指標としてマイクロ空間での混合の進行(局所環境の平衡化)をin situに観測できることを示した。 一方で、微小マイクロ流路内部の冷却過程を調べるために、純水以外の溶媒に対しての温度分析を進めた。エタノールやトルエン、シクロヘキサンなどを内部流体として包括的に調べることで、それらの低振動数ラマンバンドから温度を決定する方法の正確性を確認した。この研究によって、凍結抑止剤として有機化合物を含んだ水を低温環境で温度・スペクトル測定する準備が整った。 今後は、さまざまな溶質を溶かした微小マイクロ水滴についての過冷却温度での低温実験を行なって、冷却による分子間相互作用(水素結合)の組み替えについて、詳細に調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度までに製作した装置を利用して実験を行い、主にY字型フローシステムでの研究で成果を挙げることができた。実際に測定するのに近い試料(水と有機溶媒)を用いた性能評価も概ね完了した。しかし、低温での試料部の結露の問題を克服することに時間を費やしてしまい、温度変化スペクトルの解析にまでは至らなかった。また、ナノアイスを含む低温スペクトルの解析のためのシステムを構築することが遅れ、翌年度の課題となってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、低振動数・高振動数領域を同時分析することができる多元的ラマン分光装置を開発し、微小流路を流れる冷却水や有機溶媒の温度・構造分析を行うシステムを構築した。また、低温試料を測るための冷却ステージおよび結露抑止測定系を構築し、液滴を分析するためのY字型フローシステムでの研究も完了した。一方で、温度変化する低温スペクトルを網羅的に解析するためのデータ処理システムを構築することが遅れてしまっている。 今後は、さまざまな溶質を溶かした微小マイクロ水滴についての過冷却温度での低温実験を行なうことと、多変量解析に基づいたデータ処理システムを構築することを軸とした研究を行い、本研究課題全体の総括を行う。
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