2019 Fiscal Year Annual Research Report
Cross-sectional research for opt-spintronics explored by time-, spin- and angle-resolved photoemission
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19H02683
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒田 健太 東京大学, 物性研究所, 助教 (00774001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢治 光一郎 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 先端材料解析研究拠点, 主任研究員 (50447447)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スピン角度分解光電子分光 / レーザー / ポンププローブ / スピントロニクス / スピン軌道相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
キャリアの電荷に加えてスピン自由度も利用する 「スピントロニクス」 は、高性能な情報処理を実現する次世代テクノロジーとして期待されており、スピン偏極電子の生成・制御の機能物性研究はスピントロニクス技術開発の中核を担う。表面・界面における 「反転対称性の破れ」 と 「スピン軌道相互作用」 を原理とした生成手法がすでに確立しつつあり、その代表例がトポロジカル絶縁体表面で発現するスピン偏極ディラック電子である。そして現在、これらスピン偏極表面電子に備わった機能性を実験的に引き出す時代に突入しており、その中でも超高速な光学遷移を動作原理とした「光スピン制御」を制御法とする「光スピントロニクス」が注目を集めている。これまでに、光で誘起されるスピン偏極表面電流 (光表面スピン流)やその類まれな偏光特性が光学・輸送測定で報告されてきた。しかし、従来の計測手法では電子バンドの情報が無いため、特異な表面電子だけでなく、光励起された関係ないバルク電子の応答も合わせて検出されてしまい、スピン偏極表面電子に由来した本質的な応答の判別は困難を極めていた。本研究は、この問題を解決するために、高い波数分解能で電子構造とスピン偏極度を一挙に観察できるスピン・波数分解光電子分光とポンプ・プローブ法を組み合わせた時間・スピン・波数分解 PES を開発適用して、光スピン制御に関する本質的な機能物性を理解を目指したものである。 本年度は、長短パルス高次高調波 10.7eV を取りれた時間・スピン・波数分解 PES 装置開発を行い本研究の基盤環境構築を行った。その結果、10.7eV のスピン分解測定まで行えるようになった。翌年度から、ポンプ光の光学系を組み立て、その評価を行い、トポロジカル絶縁体などの光励起された電子スピン状態の実験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では本年度中に時間・スピン分解測定を行う予定であったが、装置に不測の故障が生じたため修理・調整に時間を要してしまい、スピン分解までしか行えていない。この過程で、10.7eV 分光法や LiF 真空窓の安定性など含めて光学系の再考も検討と実験による評価を行った結果、励起光の強度やドリフトなどの安定性は大幅に改善した。現在、10.7eV のスポットサイズは 70 ミクロンを達成しており、20meV のエネルギー分解能で超効率な3次元スピン分解に成功しており、安定してデータ獲得ができるようになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
ポンプ光の光学系を構築する。検討している波長は、基本波 1040 nm の赤外光と2次高調波 520 nm の可視光である。これら異なる波長のポンプ光を簡易に切り替えた測定ができるように、光学系を整理する。その後、ポンプ・プローブ時間・スピン・波数分解光電子分光を開始して、トポロジカル絶縁体やスピンバレー物質などで光励起された電子スピン状態の実験を行う。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Evidence for a higher-order topological insulator in a three-dimensional material built from van der Waals stacking of bismuth-halide chains2021
Author(s)
R. Noguchi, M. Kobayashi, Z. Jiang, K. Kuroda, T. Takahashi, Z. Xu, D. Lee, M. Hirayama, M. Ochi, T. Shirasawa, P. Zhang, C. Lin, C. Bareille, S. Sakuragi, H. Tanaka, S. Kunisada, K. Kurokawa, K. Yaji, A. Harasawa, V. Kandyba, T. Kim, C. Cacho, M. Hashimoto, D. Lu, S. Shin, R. Arita, K. Lai, T. Sasagawa, T. Kondo
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Journal Title
Nature Materials
Volume: 20
Pages: 473~479
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Devil's staircase transition of the electronic structures in CeSb2020
Author(s)
Kuroda Kenta、Arai Y.、Rezaei N.、Kunisada S.、Sakuragi S.、Alaei M.、Kinoshita Y.、Bareille C.、Noguchi R.、Nakayama M.、Akebi S.、Sakano M.、Kawaguchi K.、Arita M.、Ideta S.、Tanaka K.、Kitazawa H.、Okazaki K.、Tokunaga M.、Haga Y.、Shin S.、Suzuki H. S.、Arita R.、Kondo Takeshi
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 11
Pages: 2888
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] 10.7 eV レーザーによるトポロジカル表面状態の偏光依存スピン分解 ARPES2021
Author(s)
川口海周, 黒田健太, Zhigang Zhao, 谷俊太郎, 原沢あゆみ, 矢治光一郎, 野口亮, 藤澤正美, 辛埴, 小森文夫, 小林洋平, 近藤猛
Organizer
日本物理学会第76回年次大会
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[Presentation] 時間・スピン・角度分解光電子分光装置の開発:遠紫外光学素子の評価2020
Author(s)
川口海周, 黒田健太, Zhigang Zhao, 原沢あゆみ, 矢治光一郎, 野口亮, 谷俊太郎, 藤澤正美, 辛埴, 小森文夫, 小林洋平, 近藤猛
Organizer
ISSPワークショップ「次世代放射光へのイノベーション」
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[Presentation] 時間・スピン・角度分解光電子分光装置の開発:遠紫外光学素子の評価2020
Author(s)
川口海周, 黒田健太, Zhigang Zhao, 原沢あゆみ, 矢治光一郎, 野口亮, 谷俊太郎, 藤澤正美, 辛埴, 小森文夫, 小林洋平, 近藤猛
Organizer
日本物理学会第75回年次大会
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[Presentation] 時間・スピン・角度分解光電子分光装置の開発2020
Author(s)
川口海周, 黒田健太, Zhigang Zhao, 原沢あゆみ, 矢治光一郎, 野口亮, 谷俊太郎, 藤澤正美, 辛埴, 小森文夫, 小林洋平, 近藤猛
Organizer
日本物理学会2020年秋季大会