2020 Fiscal Year Annual Research Report
Fabrication of nano scaled chemical devices based on rotaxane structure
Project/Area Number |
19H02696
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺尾 潤 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (00322173)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 1分子センサ / 1分子伝導度測定 / ロタキサン / シクロデキストリン / 分子エレクトロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
・1分子伝導測定について:BJ法により電極を可動させ,架橋分子に印加した力学刺激を加え,クロミック特性を有するスピロピラン(SP)の1分子伝導特性評価を行った.その結果,整流性を示すI-Vカーブから対称なI-Vカーブへの変化を観測した.DFT計算結果から,整流性はSP体,対称なI-V特性はメロシアニン(MC)由来と示され,力学による1分子の異性化に起因する電気伝導性のスイッチに成功した[Nanoscale, 2020, 12, 7527]. ・シグモイド型センサについて:白金 - アセチリド部位を共役鎖内に含有する被覆型分子とルテニウム錯体を導入した分子ワイヤは一酸化炭素に対し高感度センシングし,配位結合に基づくポリマー/モノマーの可逆的な変換を実現した[Nat. Commun. 2020, 11, 408]. ・1分子センサについて:分析化学の究極の目標の一つであるアミノ酸の高速識別のために,シクロデキストリンを分子認識部位として有する1分子センサを作製し,pH依存性を伴うリアルタイム伝導度測定により4つのアミノ酸とそれらのエナンチオマーを,数マイクロ秒以内に区別することに成功した.本手法は1分子のタンパク質配列決の簡便な決定法として期待される[Sci. Adv., 2021, 7, abe4365]. ・配向制御プラグ分子の合成について:環状分子としてPMαCD,接合部にカルボキシル基を有する配向制御プラグ分子の合成に成功した.このプラグ分子は導電性金属酸化物である酸化インジウムスズの単結晶基板上に凝集することなく分散し接合した.また,X線光電子分光・赤外分光・原子間力顕微鏡・CV測定により単分子性・高い電子輸送能を有することを明らかとした(現在論文投稿中),
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
架橋分子に印加した力学刺激を加え,力学による1分子の異性化に起因する電気伝導性のスイッチに成功した。また、生物型応答であるシグモイド型センサ材料の開発に一種類の高分子材料で始めて成功した。さらに、分析化学の究極の目標の一つであるアミノ酸の高速識別のために,シクロデキストリンを分子認識部位として有する1分子センサを作製し,pH依存性を伴うリアルタイム伝導度測定により4つのアミノ酸とそれらのエナンチオマーを,数マイクロ秒以内に区別することに成功した.また、環状分子としてPMαCD,接合部にカルボキシル基を有する配向制御プラグ分子の合成に成功し、このプラグ分子は導電性金属酸化物である酸化インジウムスズの単結晶基板上に凝集することなく分散し接合しすることを明らかとした。何れも主著者として、IFの高い論文に掲載された。以上の様に当初の計画以上に研究は進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
分子エレクトロニクス実現のための最重要課題である1分子の伝導度計測に関する研究は,単分子層薄膜を対象とした擬似的な計測(2000年まで:第1ステージ),BJ法の確立による定量的な議論(2012年まで:第2ステージ)を経て,現在は,①分子の持つ短所である熱的不安定性やゆらぎを克服し,②接合分子の損傷や誤動作を集団として補填するための組織化を行い,③機能の集積化による分子デバイスの創製に挑戦すべき段階(第3ステージ)に突入している.今後は,第3ステージの課題①~③に対して,下記の戦略で解決を試みる.①に対しては,環状分子の被覆により導電性共役分子の熱的不安定性やゆらぎを克服する.②の方策として,ナノ空間内で電極表面からプラグ分子を介して,被覆分子ユニットを逐次的に組み上げるボトムアップ的配線法開発し,複数の被覆分子による架橋を実現し,従来の1分子接合の問題点を解決する.③は,様々な有機分子特有の物性を示す機能性分子を任意の箇所に複数導入し,機能の集積化し分子デバイスの創製に挑戦する.
|
Research Products
(14 results)